反万博の思想、現代美術、現代社会の諸相を考察
河出書房新社より今年5月に刊行された、独自の肉体表現によって戦後の日本美術界を刷新し、今改めて注目を集める前衛芸術家・加藤好弘と前衛芸術集団〈ゼロ次元〉の全貌に迫った『反万博の思想 加藤好弘著作集』(細谷修平編)。彼らとその関連作品を鑑賞し、現代美術、現代社会の諸相に考察をくわえる各種イベントが、万博開催中の大阪、東京、愛知で9月より開催される。
「反万博特集上映」が大阪で開催
今まさに万博開催中の大阪で、「反万博特集上映」を2025年9月5日(金)~9月7日(日)までシネ・ヌーヴォで開催。加藤好弘自らがメガホンをとった〈ゼロ次元〉儀式の集大成的作品『いなばの白うさぎ』(1970年、オリジナル版)の他、同時代の映画作家による貴重な作品上映を通して「反万博の思想」に迫る。上映前後には、映画、現代美術、社会思想など各方面からのゲストによるトークイベントも予定されている。
「前衛芸術と宗教からみた万博と反万博」展が東京で開催
1970年に開催された大阪万博では、建築やデザイン、美術、映像表現など様々な分野からの参加があると同時に、万博に反対する議論や表現が巻き起こった。本展「前衛芸術と宗教からみた万博と反万博」展では、当時の宗教から示されたの万博への意志表示、反万博を掲げた前衛芸術の表現者たちによる運動を、写真やポスター、機関誌など当時の資料から紐解いていく。
戦後日本の高度経済成長を象徴する存在としての万博、そして反万博運動が現代社会に投げかける問いを捉えるとともに、55年後の大阪・関西万博を考察する。
「前衛芸術と宗教からみた万博と反万博」展 開催概要
| 会期 | 2025年9月30日(火)~10月11日(土) |
| 時間 | 月〜金曜日 8:50~19:30 土曜日 8:50~19:00 ※日曜休館 |
| 会場 | 和光大学附属梅根記念図書・情報館 梅根記念室 |
シンポジウム「ゼロ次元と戦後名古屋の大衆文化を探る」開催
1960年代70年代に加藤好弘が中心となって活動した、名古屋発の前衛芸術集団〈ゼロ次元〉と戦後名古屋の大衆文化をめぐるシンポジウムが、名古屋造形大学ホールで2025年10月25日に開催される。
第一部では、本書の編者である細谷修平と、愛知県美術館学芸員として〈ゼロ次元〉や愛知の美術研究に携わる石崎尚の講演、第二部では〈ゼロ次元〉のもう一人のキーパーソンであり、美術、演劇など幅広い分野で活躍した岩田信市と70年代以降活動をともにしてきた原智彦、名古屋タイムズアーカイブスに取り組む長坂英生たちと、〈ゼロ次元〉と戦後の名古屋についてトークセッション、その大衆文化の奥部に迫る。
シンポジウム「ゼロ次元と戦後名古屋の大衆文化を探る」概要
| 日時 | 2025年10月25日(土)13:30開場、14:00開会 |
| 会場 | 名古屋造形大学ホール |
著者:加藤好弘
1936年名古屋市生まれ。多摩美術大学を卒業後、岩田信市らと前衛芸術集団〈ゼロ次元〉を結成し、各地で「儀式」と称したパフォーマンスを長期にわたり膨大な回数行なった。1970年の大阪万博を前に、ともに活動していた〈告陰〉らと〈万博破壊共闘派〉を結成して活動を展開した。その後、〈ゼロ次元〉の儀式の集大成ともいえる映画『いなばの白うさぎ』を発表。
2000年代以降、再評価の高まりを受け、国内外でアジテーションを続けた。2018年没。
編者:細谷修平
1983年生まれ。美術・メディア研究者。日本戦後芸術のドキュメンテーションに取り組んでいる。和光大学客員研究員、(一社)戦後芸術資料保存代表理事などを務める。
著書に『日本のテロ』(共著)、編著に『メディアと活性』がある。
『反万博の思想 加藤好弘著作集』書籍情報
| 発売日 | 2025年5月27日 |
| 仕様 | A5判/上製/536頁 |
| 定価 | 7,370円(本体6,700円) |
| ISBN | 978-4-309-25798-3 |
| URL | https://tinyurl.com/yyf9m64t |

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