建築デザイン事務所JGMAが大型店舗を高校キャンパスにリノベーション

イリノイ州シカゴのウォーキーガンにあるクリスト・レイ・セント・マーティン・カレッジ高校(CRSM)は、米国で唯一、4年間の大学準備教育カリキュラムと企業訓練プログラムを提供するクリスト・レイ・ネットワーク傘下の学校である。現在の施設では生徒の求めるレベルでの教育が難しくなり、高い教育水準に匹敵する新たな拠点を探したところ、近隣にある大型小売施設の空き店舗が目に留まった。大規模なリノベーションと建築を任されたのは、シカゴの建築デザイン事務所のJGMA。コンクリートに覆われた殺風景な廃墟を最先端の教育施設へと変身させる、大改造プロジェクトに挑んだ。

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Photo credit: McShane Photography / JGMA

リノベーションの舞台となった大型小売店舗は、地域との特別な関係性を感じられない、なんの変哲もない構造とデザインだった。地域との繋がりも個性もない建物を、どのようにして生徒や教師、スタッフ、そして地域の人々までもがインスパイアされるような魅力的な建物へと変身させるのか。これがJGMAのチームに課せられた最も大きな課題であった。

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Photo credit: McShane Photography / JGMA

大型店舗の廃墟は、高い天井のオープンフロアプランで、北側に湿地帯が広がっていた。本プロジェクトでは、限られた周囲からの採光を克服すべく、のこぎり歯屋根にモニターを備えた天窓を新設し、全ての部屋に自然光が入るようにした。

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Photo credit: Dimitre Photography Inc.

既存のコンクリート床は磨かれてメッキ加工され、光を反射することで屋内に明るさをプラスする。オープンで透明性の高い教育を目指すCRSMの理念を反映し、教室の壁は全面ガラス張りとなっている。

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Photo credit: Dimitre Photography Inc.

ベルビデーレ大通りに面したファサードは、CRSMのスクールカラーを表現した色調で、堂々とそのアイデンティティーを主張している。コンクリートで覆われた南側にガラスを多用することで、施設の奥に隠されていた北側の湿地帯が見えるようになり自然の景観を提供する。

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Photo credit: McShane Photography

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Photo credit: Dimitre Photography Inc.

アスレチックスペースは、建物の奥に設置するのではなく、外から目立つ場所に配置している。55,000平方フィート(約5,100㎡)の建物は、18の教室と3つの実験室、事務室、カフェテリアを完備し、400人以上の生徒を収容する。空調管理システムのHVACの最新版で制御されたビルオートメーションシステムは、図書館や公共スペースもカバーし、大学と同等程度のレベルの高いカリキュラムをこなすCRSMの生徒達にふさわしい、まさに最先端の設備が完成している。

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Photo credit: Dimitre Photography Inc.

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Photo credit: Dimitre Photography Inc.

JGMAについて

フアン・ガブリエル・モレノ・アーキテクツ(JGMA)は、2010年、イリノイ州シカゴに設立された建築デザイン事務所。丁寧かつダイナミックな空間づくりで、地域とかかわり、人々の暮らしを豊かにすることを目指している。創設者兼代表のフアン・ガブリエル・モレノは、コロンビア生まれの建築家。実験的かつ社会意識の高いデザインで知られており、その活動はシカゴにとどまらず、国外でも多くのプロジェクトを手掛けている。