京都工芸繊維大学と相合家具製作所のコラボレーションを経て創造された産学連携による新しいデザインチェア
iF DESIGN AWARDはドイツのハノーバー工業デザイン協会が主催するデザインアワードであり、今年は世界52の国と地域から約10,000件のアワード応募があった。ヴィストBAJは2019年のグッドデザイン賞に続き、2回目のデザイン賞受賞となった。ヴィストは、京都工芸繊維大学の製品デザイン計画研究室と相合家具製作所の3年間にわたるコラボレーションを経て創造された、産学連携による新しいデザインチェア。
両者は「薄さを追求した上部のモールドウレタン、細さを追求した脚部のアルミレッグ」を取組みのテーマのひとつとして開発を行った。日本のコントラクト家具の市場において、コスト面や頑丈さを求めるあまり、デザイン性や座り心地が損なわれてしまう椅子が多いため、それらを両立させた椅子を開発した。
ヴィストは、その形状を実現するため、相合家具製作所のデザイン研究所であるデザインラボにて、試作モデルでのデザイン検証と強度試験を行った。自社で保有している5軸のマシニングセンターを使って、発泡スチロールを削り出した原寸モデルでデザイン検証を行い、さらに座りと張りの検証を重ねた。座りの面においては形状の特性を生かし、背にもたれ掛かると軽くベンディングする機構を持たせた。張り方法の面ではあまり椅子張りでは使用しないコンシールファスナーを使用し、ファスナーが目立たないように工夫を施しデザインが損なわれない。
相合家具製作所について
相合家具製作所は1961年に創業した大阪に本社を持つコントラクト家具メーカー。SFIDA(挑戦)を企業理念に独自の戦略で京都工芸繊維大学との産学連携のほか、大阪を拠点に活動するクリエイティブ集団、grafとのコラボ商品開発や、2015年には建築家隈研吾設計の自社のデザイン研究所であるDesign Laboを三重県伊賀市に設立するなど挑戦を続けている。