ADFミラノサローネデザインアワード2019 TOMIを展示
ADF(NPO青山デザインフォーラム)は「ADFミラノサローネデザインアワード2019」で最優秀賞を受賞したミラノのFORO Studioによる作品、「TOMI(Tokyo-Milan)」をミラノデザインウィークにおいて展示しました。ADFはクオリティーの高いデザイン文化を広めることを目的とし、国際的なデザイナーとのネットワークを築いてきました。ADFは2018年10月から12月にかけて、"ポータブルスペース(Portable Space)"をテーマにした国際的なコンペティションを開催し、2019年度はFORO StudioのプロジェクトTOMIの実現と展示をすることになりました。
ミラノ出身の5人のプロフェッショナル集団であるFORO Studioはデザイン分野で活躍し、それぞれの能力を組み合わせプロジェクトを行なっております。この5人のグループは、技術的スキル及び衝戟的創造性を備えたプロジェクトマネージャーのクラウディア・オリダーニ(Claudia Oldani)、プロダクトデザイナーであり会社の中の理論家であるアレッサンドロ・ペネッシ(Alessandro Pennesi)、会社の中心であり、戦略立案の責任者であるギゼッペ・ポンゾ(Giuseppe Ponzo)、直感的かつ実験的なインテリアデザイナー、プロダクトデザイナーであるファビオ・ロメニッチ(Fabio Romenici)、サスティナブルデザインを志向し、多角的スキルを持つ建築家、ディスプレイデザイナーであるサルヴァトーレ・ポンゾ(Salvatore Ponzo)、この5人によってFORO Studioは成り立っています。
FORO Studioの主なプロジェクトはアートディレクション、ブランドアイデンティティ、インテリア&エキシビションデザイン、プロダクト&グラフィックデザインを包括し、マテリアリズム、エシックス、スピリチュアリティ概念を融合させた革新的かつ学術的アプローチを通じて、デザインを開発し実現化します。文化といったものをプロジェクトの中に援用し、人々の仕事、アート、社会生活の繋がりをリサーチし、様々な要素をミックスすることで実りある成果を見出し、最高のプロジェクト結果を享受します。
環境にやさしい、最先端のマテリアルの使用、クライアントと絶え間なく対話を行うという戦略的アプローチへの注視は、プロジェクトに形と意味を与えるユニークなイメージを創造することを目的とし、クライアントとの対話のために認知的、感情的、感覚的経験のためのリサーチを行います。
イタリア文化と日本文化の架け橋を意味する彼らの新しいプロジェクトであるTOMIも、このような考え方に基づいています。この移動空間(モバイルスペース)は包装されたランチを食べるためだけではなく、都市におけるリラクゼーションと交流としても活用できます。実際に、食べものはミーティングや社交という契機として選ばれてきました。「スキシェッタ(schiscetta)」とお弁当箱、ミラノと東京の文化で食べものを運ぶという典型的な文化である容器は、取り外し可能で、移動可能な本質的なモジュールシステムに生まれ変わり、ミーティングやもてなしのための場所になります。このプロジェクトは、物理的空間のなかに移動可能なオブジェクトを拡張することによって、移動性(ポータブリティー)のテーマを解釈します。構造物はシンプルであり、屋内と屋外の両方で使うことができ、簡単に組み立てや分解することができます。これは魅力的な方法で日本の文化とイタリアの文化を融合させ、休息や社交のための空間を創造することを必要とする現代の都市のニーズを満たすために伝統的な要素を利用しています。
TOMIは、ラーメンや寿司などといった屋台の食べものを売るために江戸時代に導入された屋台にインスピレーションを受け、屋台をランブラーテ地方のミラノマニファクチャの歴史的プロダクトである鉄パイプ、Innocentiから作り上げることで生まれ変わりました。他の多くの要素もまたこのイタリアと日本の文化に関係しています。赤い吊り下げられた漆塗りの装飾的な球体は日本の国旗へのオマージュとなります。そして、伝統的に店舗やレストランによって用いられる伝統的な布地の仕切りである暖簾を再解釈することにより日差しを防ぐことができます。他方で、スペースの中央にある大きなテーブルは、素敵なパスタを囲めば、何でも話すことができるイタリアのバンケット文化を表しています。
駐車場の車一台分くらいの大きさのもので、10人ほどが座ることが可能です。このモジュール式のインスタレーションは、92本の機械式ジョイントでつながれた38本の鉄パイプInnocentiで構成されています。金属フレームの内側には、濃い赤色で塗られたMDF製の6つの四角形モジュールが配置され、構造の周囲に沿って座席を形成しています。中央に設置された黒いテーブルは、同じくラッカーで塗られたMDFでできており、テーブルを中心として友好的な交流を引き起こすことができるスペースとなっております。日中は、暖簾をイメージしたカーテンが太陽、埃、雨などから守ります。ソーラーパネルは、夜の照明のエネルギー源になります。 TOMIのパーツは、金属製のジョイントを通して簡単に組み立てたり分解したりできます。また、構造は6つに分割することができ、簡単に保管できます。
2020年度もADFミラノサローネアワードを開催する予定ですので、ご参加下さい(募集時期は2019年9月〜12月ぐらいを予定)!