クマ財団で支援する若手クリエイターの発表の場
次世代を担うクリエイターの育成に取り組むクマ財団は、クリエイター奨学生第6期・55名が発表するシリーズ「KUMA experiment」の第7弾として企画展「生を読む」を2023年2月4日(土)から2月12日(日)まで開催する。2010年以降、地球温暖化やパンデミックなど、人間を取り巻く地球環境は大きく変化し、その自律性はこれまでの人間を主体とする世界観に顕著に影響を与えてきた。建築が人の体を変容させ、化学物質が人間の寿命よりも遥かに長く地球に残存するように、世界においては人だけでないあらゆる存在が表象の主体となる。
参加クリエイターは、「土に還るアート」をテーマに古来から存在する素材や技術とテクノロジーを組み合わせたテキスタイルアートを制作する池辺ヒロト、日本文化を尊重し、新たな美意識の発露を目的とし制作を行い、歴史の蓄積を認識しながら、自己アイデンティティーの形成を試みている後藤光利、Human-Conmputer Interaction、身体性認知科学の観点から人々が持つ自己感覚の柔軟さについて研究している高田一真、現象を手がかりとし、感覚から生まれる身体的建築を追求する樋口紗矢、New Mediaにおけるフェミニスト批評を専門に、人間とテクノロジー、モノや動物などの脆弱性に注目し「サイボーグ」を再定義する活動を行っているMaya Masuda、自然豊かな土地で育った経験を背景に、生物を用いて「浄化」をテーマに陶芸作品を制作している森聖華の6名となる。
生を読む / Statement
本展では、人と生物、物質などの複数の主体が交わる境界空間に着目し、生にまつわる様々な事象について多面的な視点からのアプローチを試みるもの。他者性への畏怖を起源とする祈りから始まり、建築物や物質、身体といったオブジェクトの自律性、それから機械や人間、あらゆる動物が交わるその狭間へ。これらの思考実験は、現代においてあまねく存在の“生”を問い直す為の1つの道しるべとなるかもしれない。
Profile
池部 ヒロト(Hiroto Ikebe)
多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻。日本を含めた世界各地に存在する民族の内包する文化、習慣、信仰などの蓄積された記憶からインスピレーションを受け、「土に還るアート」をテーマに日本に古来から存在する素材・技法とテクノロジーを組み合わせたテキスタイルアートの制作を行う。
後藤 光利(Mitsutoshi Goto)
1998年2月24日生まれ。日本文化を尊重し、新たな美意識の発露を目的とし制作を行う。また、歴史の積層を認識し、自己のアイデンティティーの形成ができればと思う。
高田 一真(Kazuma Takada)
1997年生まれ。沖縄科学技術大学院大学在籍。自己感覚の柔軟さについて、Human-Computer Interaction、身体性認知科学の観点から探究している。論文だけでなく、展示やワークショップを通じてより多くの人に体験してもらえるデモンストレーション設計と実践を試みている。
樋口 紗矢(Saya Higuchi)
1997年福岡県生まれ。九州大学大学大学院 人間環境学府 建築意匠学専攻。物質としての建築、人体、それらを媒介する感覚。感覚は現象を捉え、そして現象そのものでもある。現象を手がかりとし感覚から生まれる身体的建築を追求する。
Maya Masuda
“New Media in Abjection”を主題に、人とテクノロジーの融合として定義されてきた「サイボーグ」を、人間とテクノロジー、モノ、動物などあらゆるものがその脆弱性によって開かれ混合する場所から再定義するような活動を行う。専門はNew Mediaにおけるフェミニスト批評。
森 聖華(Kiyoka Mori)
1996年長崎県出身。東京藝術大学大学院美術研究科工芸専攻陶芸研究分野在籍。主に生物を用いて浄化をテーマに陶芸作品を制作している。作品制作には自然豊かな土地で育った経験が根底にある。また、並行して生活を彩る食器類の制作も進めている。
「生を読む」開催概要
会期 | 2023年2月4日(土)から2月12日(日)まで |
時間 | 12:00 ~ 19:00 |
料金 | 無料 |
会場 | クマ財団ギャラリー |