革新と持続可能性を融合したデザイン展示
Oxo Tower WharfのBargehouseで4日間にわたって開催された「マテリアル・マターズ 2024」は、6,000人以上の来場者を迎えた。本イベントは、ウィリアム・ナイトとグラント・ギブソンによって設立され、素材の持つ力とデザインの可能性を探求するプラットフォームとして年々成熟し、今回で3回目の開催となった。会場ではグローバルブランドと新進気鋭のデザインスタジオが共存し、多彩な展示やインスタレーションを通じて、最新の素材や技術を披露した。
サステナブルデザインの最前線を行くスタジオ
「デザインスタジオ・オブ・ザ・イヤー」の栄冠は交通デザインのエキスパートであるPriestmanGoodeが受賞した。同スタジオの展示「Moving Responsibly: A Material Journey」は、未来の持続可能な交通システムの設計と、その過程におけるデザインの重要性を示すものであった。一方、素材デザインリサーチを行うStudio Sanne Visserのインスタレーション「Locally Grown」では、髪の毛を新しい素材として利用する革新性を発表。来場者はその場でヘアカットを体験し、切り取られた髪がロープとして編まれる過程を見学することで、人間の廃材を再生可能な資源として活用する方法を学ぶことができた。
素材革新の境界を押し広げる新しい提案
tp bennettとThe Furniture Practiceによる「In the Making」では、地理、文化、サプライチェーンの交差点にある製品製造の複雑な関係性を探る展示が行われた。Arper、SURU、Humanscale、Normann Copenhagenなど、12の世界的なブランドが参加し、サステナブルなアプローチを紹介した。また、新しいデザインスタジオであるForEveryday.Lifeは、プエルトリコでのハリケーン「マリア」後の住民の移転問題に対応するための3Dプリント住宅プロジェクト「Housing Salinas」を発表。災害によるコミュニティ再建のための迅速かつ耐久性のあるソリューションとして注目を集めた。
ウッドアワード:木材の可能性を探る
今年もウッドアワードがgallery@oxoで開催され、家具やオブジェを含む2024年のショートリストが展示された。これらの作品は木材がデザインと建築においてどのように革新の可能性を秘めているかを物語るもので、伝統と現代技術が融合した美しいクラフトマンシップを堪能することができた。
大手メーカーによる未来志向の展示
本イベントには大手メーカーも多く参加し、最先端の素材とデザインの提案が行われた。ノルウェーのアルミニウムメーカーであるHydroは、世界初の工業規模での完全リサイクルアルミニウム「Hydro CIRCAL 100R」を使った7つのデザインプロジェクト「100R Project」を発表。マックス・ランブ、レイチェル・グリフィン、フィリップ・マルーアンなど、著名なデザイナーたちが、それぞれのクリエイティビティを生かした製品を制作した。
熱い議論が繰り広げられたトークセッション
イベント期間中、素材、デザイン、そして建築にまつわるさまざまなトピックについて活発な議論が行われた。トークセッションにはデザイナーのジョン・ツリー、PriestmanGoodeのクリスティ・ディアス、作家のアンナ・ミントン、そしてインダストリアルデザイナーのテジ・チャウハンらが登壇し、バイオデザインから住宅問題まで多岐にわたるテーマを掘り下げた。「Material Matters 2024」はデザインの最前線で素材の力を探るとともに、コミュニティを築き、日々の暮らしに革新をもたらす場として、確固たる地位を確立している。