「カンジ・ムジカ」展概要
「漢字はどこから、なぜ生まれたんだろう?」文字の起源を鑑賞者の身体に呼びおこす体験型展示
企画展「カンジ・ムジカ」が2020年1月10日(金)から3ヶ月間にわたって京都の漢字ミュージアムで開催される。展示会名のムジカとは「音楽」を意味する。本展は「漢字はどこから、なぜ生まれたのだろう?」という問いを手がかりに、音のアーティストである2人が、自然現象、人の営み、記すことなど様々な漢字の起源から連想される事象を研究することからこの企画がスタートした。身の回りの現象や光景を記号に変換していく感覚を鑑賞者それぞれの身体に呼びおこすという体験型の展示となっている。
本展では「春」も重要なキーワードの一つ。会期中、1月から2月は地中の生き物たちが春に向けて力を蓄える季節。3月4月になると命が蠢き、大地に溢れて芽吹きの季節となる。そんな春の持つ、力強さや生命力も、表現のインスピレーションとなっている。
2人の音のアーティストとのコラボレーション
本展では、詩人、作詞家、ラッパーの志人と、声のアーティストであり美術家の山崎阿弥の作品が展示される。二人はいずれも感情や感覚など、目に見えないものを音を通して可視化しているアーティスト。今回は、漢字 / 文字を「音」という要素を中心に再構築することで、説明的な学習ではなく、鑑賞者の自由な感性によって体験型展示空間となった。
アーティストと関西の美術学生との共同制作(展示会場1)
志人の展示には、関西の美術大学生や芸術大学生が中心となって活動を行っている団体「SHAKE ART!」のメンバーも参加し、京都府山中でのワークショップも行った。
音郷響門閃闇立日 -なにゆえの あいうえお ことばは どこから?
詩で形づくられた「門」をくぐり、文字の起源を追体験する異世界に入り込むところから、展示体験がスタート。会場には、詩人/作詩家でありながら木こりであるアーティスト志人自らが収集した「山岳有魂物体」、「丸太」、「這」、「水鏡」など、様々な漢字のもともとの姿をイメージさせる物を展示。これらは来場者も「さわり」、「かなでる」ことができる。また、ハガキの起源であるという「多羅葉」の葉に、期間限定で文字を記す体験などもできる。
声/千闇千刻の光(展示会場2)
半透明のカーテンをくぐった先にあらわれる、「膜」に覆われた10mにおよぶドローイング。鑑賞者がその「膜」にふれると、まるでレンズのように、無数の線が浮かび上がる。山崎が声を出しながら紙の上に記したこの「音と響き」を、鑑賞者が自らの手でなぞることを通して、アーティストの行為を追体験するとともに、「鑑賞者にとっての文字」を再発見することができる。また、入口側に設置される一対の箱からは、山崎が雨から連想し、刻んだ無数の線が光とともに浮かび上がる。会場全体を包む春の霧のような「うた」に満たされた空間で、鑑賞者自身が、文字をとりまく現象のあわい、記号になる前のカタチ、声と記されたものの関係性を見いだすことを誘う内容となっている。
「カンジ・ムジカ」展情報
企画展名 | カンジ・ムジカ 春と愛と漢字に溺れる、音とアートの企画展 |
開催期間 | 2020年1月10日(金)~4月5日(日) |
場所 | 漢検 漢字博物館・図書館2階(所在地:京都市東山区祇園町南側551番地) |
入場料 | 大人¥800 大学生・高校生¥500 中学生・小学生¥300 |