ファッションデザインとグラフィックデザインの新たな可能性を検証する
グラフィックデザインとタイポグラフィの専門誌『アイデア』No.390 が2020年6月10日(水)に発売。『アイデア』は、1953年創刊のクリエイターのための世界のグラフィックデザイン誌。 現存するデザイン誌としては最古参の雑誌で、戦前の前身である『廣告界』にさかのぼると80年を越える伝統と実績を誇り、創刊以来、国際的なデザインネットワークを活用して古今東西のデザインの状況を伝えている。『アイデア』で初のファッション特集となる、No.390のタイトルは「writtenafterwards:装綴ファッションデザインの生態学」。
ファッションデザイナーの多くは、一つのコレクションを制作していく上で膨大なリサーチを行い、そこで得た断片的な思考を「ムードボード」という平面空間のなかに整理していく。 本号の特集では、そうしたファッションデザイナーたちの創作のプロセスを可視化するために、ファッションブランド「writtenafterwards」のデザイナー山縣良和による創造の過程と山縣良和の個人史にまつわる物や記憶を、社会的な事象とも結び合わせながら紹介する。
神話から始まり、古代、中世、近世、近代を経て、現代まで至る誌面を眺めていくと、なかには狭義のファッション観では捉えられないものも出てくるかもしれない。しかし、東西の文化を横断し、山縣良和の創作を通してファッションの歴史を綴った本特集からは、人類と併走してきた装いの変遷と、その生態系を感じることができる。そして、その変遷を辿ることにより、ファッションデザインとグラフィックデザインの思考の上での共通点・相違点を探っていき、両者のあらたな可能性を検証する。
参加者一覧
- 会田誠(美術家)
- 家安香(デザインディレクター、Edelkoort East代表取締役)
- 池上高志(複雑系科学研究者、東京大学大学院総合文化研究科広域システム科学系・教授)
- 泉英一(セレクトショップ「DESPERADO」クリエイティブディレクター、バイヤー)
- 内田樹(学塾・凱風館館長)
- 宇野良子(認知言語学者)
- 荏開津広(DJ、執筆、キュレーション、京都精華大学非常勤、立教大学兼任講師)
- 江本伸悟(学者)
- 奥田桃子(writtenafterwardsクリエイティブチーム)
- 小松隼也(三村小松山縣法律事務所 弁護士兼リーガルディレクター)
- サラ・モワー[Sarah Mower](ファッションジャーナリスト)
- 椹木野衣(美術批評家)
- 下西風澄(哲学者)
- 白石正裕(ファッションしらいし代表)
- 杉浦太一(CINRA, Inc. & Inspire High,Inc.代表取締役・創業者)
- 須藤玲子(テキスタイルデザイナー)
- 関根みゆき(結び研究家)
- 田口淑子(フリーランス編集者)
- 辰巳清(アミューズミュージアム館長、キュレーター)
- 豊田啓介(建築家、noizパートナー、gluonパートナー)
- 中西多香&中西大輔(亜洲中西屋)
- 名越康文(精神科医)
- 濱田祐史(写真家)
- 福森順子(社会福祉法人太陽会 しょうぶ芸術文化センターアムアの森館長)
- 麥田俊一(売文家)
- 森田真生(独立研究者)
- 安田登(能楽師)
著者プロフィール 山縣 良和(やまがた・よしかず)
1980年鳥取県生まれ。2005年セントラル・セント・マーチンズ大学を卒業。在学中にジョン・ガリアーノのデザインアシスタントを務める。2007年にwrittenafterwardsを設立。2008年より東京コレクションに参加。2014年に毎日ファッション大賞特別賞を受賞。2015年には日本人として初めて「LVMH Prize」のセミファイナリストにも選出された。またファッション表現の研究、学びの場として、2008年より「ここのがっこう」を主宰。「GAKU」のディレクター。
writtenafterwards(リトゥンアフターワーズ)
2007年、山縣良和と玉井健太郎(2009年に辞任)によって立ち上げられた。コンセプトは、装うことの愛おしさを伝え、流行の成り立ちや本質を伝えること。創造性をもって“いま”を表現していくこと。そして心に届けることを。
書籍概要
書名 | アイデア No.390 |
企画・構成 | 山縣 良和 +writtenafterwards、磯山 進伍、須山 悠里、アイデア編集部 |
仕様 | A4変判、218ページ |
定価 | 2,829円+税 |
発売日 | 2020年6月10日(水) |