伝統に根差した技術や産品などを世界へと発信していく「江戸東京きらりプロジェクト」

現代アートの分野で国内外問わず幅広く活躍する舘鼻則孝を展覧会ディレクターとして招聘し、展覧会「江戸東京リシンク展」を「江戸東京きらりプロジェクト 」の一環として、2023年3月11日(土)から2023年3月15日(水)まで開催する。本展覧会では、「日本文化の過去を見直し現代に表現する」という舘鼻則孝の創出プロセスである「Rethink(リシンク)」を起点として、歴史ある伝統産業の価値や魅力を新たなかたちで提案する。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-1

昨年より継続して開催される本展覧会は、新たに制作されたアート作品や伝統産業事業者が保有する貴重な歴史的資料を、江戸時代の大名庭園の一つであり、文化財指定から2023年3月で100年を迎える特別史跡・特別名勝 小石川後楽園にて開催。さらに今年は「江戸東京リシンク展」開催以来(2021年から毎年開催)初となるリアルな場での一般公開を行い、実作品を間近に観ることができる。

舘鼻則孝(たてはな のりたか)

1985年、東京都生まれ。東京藝術大学美術学部工芸科染織専攻卒。卒業制作として発表したヒールレスシューズは、花魁の高下駄から着想を得た作品として、レディー・ガガが愛用していることでも知られている。現在は現代美術家として、国内外の展覧会へ参加する他、伝統工芸士との創作活動にも精力的に取り組んでいる。作品は、ニューヨークのメトロポリタン美術館やロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート博物館などに永久収蔵されている。「イメージメーカー展」(21_21 DESIGN SIGHT, 2014)、「Future Beauty」(東京都現代美術館 ほか国際巡回 , 2012)、個展「呪力の美学」(岡本太郎記念館 , 2016)、個展「Itʼ s always the others who die」(POLA Museum Annex, 2019)、個展「NORITAKA TATEHANA: Refashioning Beauty」(ポートランド日本庭園 , 2019)他、ニューヨーク、パリ、 ベルギーなど世界各地で作品を発表。また、2016年3月にパリのカルティエ現代美術財団で文楽公演を開催するなど、幅広く活動している。

出展する伝統産業事業者

江戸木版画 高橋工房(えどもくはんが・たかはしこうぼう)

安政年間(1854年~1860年)に創立し、現在に至るまで伝統の木版画の制作を続けている。江戸木版画は、「絵師」「彫師」そして色ごとに色を摺り重ねる「摺師」の3者の分業で作品を作り上げていく。高橋工房は、170年前の初代から摺師を継承し、現在は3者をプロデュースする「版元」も兼ねている。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-2

江戸切子 華硝(えどきりこ・はなしょう)

1946年の創業以来、常に前進し新しいものづくりにチャレンジし、現在では、国賓の贈呈品やサミットなどの国際会議などの記念品として選出されている工房。カットから磨きまですべて自社の工房で行っており、デザインもすべて職人が生み出している。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-3

和太鼓 宮本卯之助商店(わだいこ・みやもとうのすけしょうてん)

文久元年(1861年)、太鼓店として創業。太鼓・神輿の製造・販売を中心に事業を拡大。創業以来、宮本卯之助商店は祭と伝統芸能の保存と発展を使命とし、祭の持つ人々を繋げる力、世界に誇れる伝統芸能という日本の佳き伝統の継承に貢献している。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-4

東京くみひも 龍工房(とうきょうくみひも・りゅうこうぼう)

1963年に創業以来、組紐にあった糸づくり、染色・デザイン・組みまでを一貫して行う都内で唯一の工房。伝統的な組紐だけでなく、先代から受け継がれてきた技術とノウハウから組紐を進化させ、2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップでは、メダルリボン・参加記念敷布を、耐久性と伸縮性を重視した純国産シルクの組布で製作した。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-5

江戸組子 建松(えどくみこ・たてまつ)

1982年江戸川区にて創業。「組子細工」の端緒は、平安時代に生まれた日本建築の建具であり、釘を一切使うことなく、小さな木片を手作業で組み合わせてさまざまな模様を編み出すことができる。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-6

新江戸染 丸久商店(しんえどぞめ・まるきゅうしょうてん)

明治32年、日本橋堀留町にて創業した注染製品の問屋。注染は主に浴衣や手拭に使用されてきた染色技法であり、創業以来、さまざまな柄や図案を産み出し、日本の芸事、季節のお祭りに彩りを添えている。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-7

江戸東京きらりプロジェクト

江戸東京きらりプロジェクトは、江戸東京の伝統ある技や老舗の産品といった「東京の宝物」に磨きをかけ、その価値と魅力を世界に発信するプロジェクト。本プロジェクトは、“Old meets New”をコンセプトに、伝統的な匠の技の中から新たな取組に果敢に挑戦する「モデル事業者」を「衣・食・住」の各分野から選りすぐり、新しい視点から江戸東京の伝統ある技、産品を磨き上げることでその価値を高める取組と、SNSや国内外でのプロモーション等を通じてその魅力を発信する取組を行っている。これらの取組を通じて、東京の伝統ある産業の魅力向上と持続的発展、技の継承を目指す。adf-web-magazine-edo-tokyo-rethink-exhibition-8

特別史跡・特別名勝 小石川後楽園

関ケ原の合戦から29年後の寛永6(1629)年、水戸藩の祖である徳川頼房が増築を開始し、頼房の三男で「水戸黄門」として知られる二代藩主の光圀が修治し完成させた江戸時代初期の庭園。北宋の政治家・范仲淹の著した『岳陽楼記』の一節「天下に憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ」がその名の由来と言われ、明の儒学者・朱舜水の助言を受けて、光圀が名付けたと伝わっている。円月橋、西湖の堤など、随所に中国の趣向が取り入れられ、梅、桜、藤、そして紅葉と、四季を通して美しい景色を見ることができる回遊式築山泉水庭園。都立文化財9庭園の1つであり、昭和27(1952)年に文化財保護法により、特別史跡・特別名勝に指定されている。

~江戸東京きらりプロジェクト × 現代アート~「江戸東京リシンク展」開催概要

期間2023年3月11日(土)から2023年3月15日(水)まで
時間9時 ~ 17時
会場特別史跡・特別名勝 小石川後楽園