サスティナブルな洗浄キット「Loop」がプロダクトデザイン部門でゴールド・アワードを受賞
Looopは月経者の生理貧困を減らすために、再利用可能な月経パッドを洗うための洗浄キットで、水不足地域の難民や経済的に困難な状況にある亡命者、またサスティナブル方法で月経を迎えたい人などに向けてウェーブイ・デザインによってデザインされた。Design Educates Award(デザイン・エデュケイツ・アワード)2022ゴールド・プライズを受賞したこのプロダクトは、浮力を利用し、洗濯に必要な水を削減。インジェクション造形でリサイクルPP製の洗浄部品とパッドも含め、セットで3ポンド程度で購入することができる。寿命は難民がキャンプで身分証明書の発行を待つ最短期間である5年間を想定されている。
Looopのインスピレーションとねらい
チェク・ラーム・ウォンは、2020年9月から2021年3月までセントラル・セント・マーチンズで行われたの最終学年プロダクトデザインプロジェクトに取り組むにあたり、当時、ギリシャのモリアキャンプが火災で全焼して13万人が避難所を失ったというニュースを耳にし、難民危機は最も深刻な人道的災害の一つであると感じていた。女性はこの不安定な環境の中でキャンプ内でのジェンダーに基づく暴力など、より脆弱な立場におかれているためプライバシーが確保され、安全で安心できる空間、そして清潔に保つための環境が必要である。
彼女は、言葉や文化の壁に阻まれ経済力のない12歳から24歳までの女性たちに、水や衛生、健康といった基本的人権を守ることができる製品をデザインすることを思い立った。Looop Canの目的は、下記の女性の尊厳ある空間移動と基本的人権として
- 水と衛生に対する権利
- 健康に対する権利
- 教育を受けるための障壁がないことを含む無差別に対する権利
を保障することである。Looop Canは水不足地域における生理用品の貧困を減らすために、再利用可能な生理用ナプキンを洗浄するための手頃な価格の洗浄キットとしてデザインされた。
パッドデザインのために再利用可能で皮膚アレルギーを起こしにくい素材について研究し、天候に左右されず、より早く乾くように層が分離できるようデザイン。速乾性のある竹布は室内では半日で乾き、冬場は温度を保ち、夏場は涼しいため理想的な選択肢となった。また、長方形のデザインは裁断時の布の無駄を省き、遠くから見ても生理用品であることを感じさせないため、難民キャンプでのジェンダー・スティグマを軽減することができる。また、ボランティアが製造するこのパッドのに対して労働に賃金を支払うことで、難民の女性に経済的な安定をもたらす機会にもなった。
ウェーブイ・デザインについて
ウェーブイ・デザインではサスティナブな開発は、素材の選択、システムサービス、製造方法、コミュニティへの参加に関する意思決定の指針として機能している。ウェーブイ・デザインがデザインを通し、社会から疎外された人々が経済活動に参加可能になることで、ジェンダーの誤解を解く機会を与えたられることを誇りに思っている。
チェク・ラーム・ウォン(Cheuk Laam Wong)について
香港出身のチェク・ラーム・ウォンは、ロンドンを拠点とするプロダクトデザイナーで、数々のアワードを受賞。彼女の主なデザイン哲学は脆弱なコミュニティに長期的なポジティブな感情をもたらす、手頃な価格のソーシャルデザインに焦点を当てていくこと。水と衛生に対する基本的な人権を守るためのデザインの旅へと彼女を導いてきた。また、美しいインターフェースをデザインするだけでなく、知識の民主化と学習の動機付けに情熱を傾ける熱心なUXデザイナーでもある。卒業後、ルビー・マキーと共同でウェーブイ・デザインを設立し、学際的なデザインワークを通じて社会的インパクトを生み出すことを目指している。