建築家アッキーレ・カスティリオーニとジャンフランコ・カヴァリアが20年前にデザインした筆記用具が発売

イタリア・ボローニャのジョヴァンナとカルロ・カスティリオーニは、父親のスタジオに保管されていたアキッレ・カスティリオーニの未発表プロジェクトのプロトタイプを発見した。建築家ジャンフランコ・カヴァリアとの共作による、彼のキャリア最後のプロジェクトであった。

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Photo credit: EGO.M

木製のプロトタイプは、熟練の家具職人ピエルルイジ・ギアンダの手によって、カスティリオーニとカヴァリアが研究した三葉形のアーチ型に再現され、人間工学によって心・手・物の調和を表現し、またテーブル上で転がらない特殊性を持っている。このプロジェクトは、デザインの正確な解釈を得ることができず、珍しい形状の製造に必要な投資もできなかったため、何年も引き出しの中に放置されたままになっていた。そして2020年、アキッレ・カスティリオーニ財団とジャンフランコ・カヴァリアは、イタリアのデザインスタジオEGO.Mと出会い、このプロジェクトの開発・生産を委託し、アキッレの103歳の誕生日に公開した。

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CENTO3.O mechanical pencil
Photo credit: EGO.M

EGO.Mの貢献 

EGO.Mはその責任を自覚し、1年間の共同作業で理念、初心をカヴァリアに確認し、プロジェクトの実現に力を注いだ。図面が慎重に分析され、木製プロトタイプの中からシャープペンシル、多機能アートペンシル、ポケット型万年筆の3点が生産に移された。シャープペンシルは技術的な図面を表現し、多機能アートペンシルは実用的で手軽、かつさまざまな用途に使えるように。そして万年筆は、より現代的で型にはまらない若い世代にも親しみやすいよう、あえてポケットタイプにした。

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Photo credit: EGO.M

3Dプリントとグラフェン

立体印刷技術である溶融積層造形法は、そのユニークな形状を作り出すことができる汎用性の高さから、生産に採用された。この技術の応用により、これまで製作上の問題で引き出しの中に放置されていたプロジェクトが実現した。3Dプリンティングは、オブジェクトに特殊なテクスチャを残す。それは、傷跡のように価値を表し、生産の遅さと各ピースの独自性を証明する本物のしるしである。滑らかな手触りだけでなく、握り心地もよい軽さも備えている。

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CENTO3.O mechanical pencil
Photo credit: EGO.M

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CENTO3 in graphene and non functional wooden prototypes
Photo credit: EGO.M

CENTO3:ひとつの名前に多くの意味を込めて

アキッレ・カスティリオーニは

モノに名前をつけることさえもデザイン行為である。

と言い、このコレクションのタイトルも研究・調査の対象になっている。

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    Three pieces of CENTO3 Photo credit: EGO.M

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    Photo credit: EGO.M

    EGO.Mについて

    EGO.Mは、具体的でありながら型にはまらない選択と解決策によって、本質を常に追求することを目的としたデザインスタジオ。ボローニャに拠点を置くこのチームは、9人の若いプロフェッショナルで構成されており、彼らの家庭環境と学歴が情熱と好奇心を刺激し、美に対するセンスを育てながら、共通の経験によって団結している。EGO.Mは、メイド・イン・イタリーデザインの職人の才能と経験によって強化され、純粋なデザインエッセンスでありたいと願うブランドに生命を与えている。