計算されたデザインと芸術的な職人技の融合
アンドブラックデザインスタジオが、彫刻的なフォルムとデザインへの独創的なアプローチで定義された最先端の家具コレクション「LOOPシリーズ」を発表した。どの作品も、芸術性と機能性を融合させ、素材操作とデザイン思考の限界を押し広げるというスタジオの哲学を物語っている。
単一の素材で作られた単一の表面というアイデアに着想したLOOPシリーズは、構造的な安定性、有機的な美しさ、人間工学に基づいた機能性を実現するために二重の曲面を使用している。そのデザインアプローチは、ダイナミックでありながらバランスの取れたフォルムを生み出すことに重点を置いており、視覚的な流れと機能的な性能は統一されたアイデアから生まれている。本シリーズは、多要素のコンポジションを自立するフォルムにループするシームレスなサーフェスに置き換えることで、家具作りの伝統的な認識に挑戦している。
本シリーズはアイデアトップアワード2023のグローバル・ベストデザイン賞をはじめ国際的な評価を得ており、インドの著名なデザイン・イベントで展示された後、2025年のミラノ・デザイン・ウィークで国際デビューを果たす。
革新的なクラフトとテクノロジー
LOOPシリーズは伝統的な大工技術と計算ツールを組み合わせることで、その複雑さを実現している。この二重のアプローチにより、デジタルの精密さと職人の美学が融合し、グローバルな魅力を持ちながら原点に根ざしたデザインが生み出されている。反復的なプロトタイピングにより各作品が厳格な性能基準を満たしていることが保証される一方、天然素材の使用はスローデザインの原則に対するスタジオのコミットメントと一致している。
文化的・社会的関連性
インドの職人的な仕事に現代的なデザイン手法を取り入れることで、伝統的なノウハウと現代的なデザイン思考との結びつきを強めている。このコラボレーションは職人たちによる新しい形や技術の採用を促し、ひいては生活向上にも貢献する。本シリーズの生産はシステマティックな思考がいかに複雑なアイデアを具体的な製品に変え、持続可能な実践と地域のエンパワーメントを通じて社会に利益をもたらすかを示している。さらに工業製品が氾濫する今日の市場において、工芸品の活性化にも貢献し、その価値を高めている。
LOOPベンチ&シーター
LOOPベンチ&シーターは、連続的な曲線と思慮深い幾何学的形状により、流動的なフォルムを探求している。ベンチの特徴として、触覚に近い起伏が視覚的な緊張感を与え多様な座り方を可能にすることがあげられる。シーターは、ミニマリズム、構造的安定性、人間工学に基づいた快適性のバランスをとりながら、工夫された厚みの変化で片持ちのデザインを実現している。
LOOPラウンジャー&ロッカー
LOOPラウンジャー&ロッカーは、一体感のある流れるようなフォルムでシーティングを再定義している。ラウンジャーはシームレスなくつろぎを実現するため、連続した1つの面を使用し、形と機能を統合。ロッカーはベースから放射状にカーブを描き、ダイナミックな片持ち座面と背もたれをつくり、動きと構造的なバランスを強調している。
LOOPジューラ
インドで自動車やトラックのタイヤから作られる最もシンプルなブランコからインスピレーションを得たLOOPジューラは、終わりのない円形の幾何学模様を探求している。ツイスト・ジューラはメビウスのひねりにヒントを得て、連続的な流れを可能にし、スパイラル・ジューラは背中を支えるためにもうひとつ輪を加えている。複雑さとシンプルさが融合したデザインは、動きのユニークな解釈を提供している。
LOOPスタディーシリーズ
LOOPスタディーシリーズは、直線的なフォルムと曲線的なフォルムの並置を、対照的な素材表現とともに探求している。スタディテーブルとチェアは、連続した木製の表面を断片的でなめらかな金属製の構造で支えている。ブックシェルフは、ループ状の表面を構造化されたグリッドに組み込むことで、従来の収納を覆し、機能と彫刻的な芸術性を融合させている。
LOOPバー・ユニットとスクープ・コンソール
両作品とも、固まりから彫刻的なフォルムを切り出すというアイデアを探求している。バー・ユニットは、重厚さとエレガンスをバランスさせた片持ち梁のループ・ヴォイド。スクープ・コンソールは、様々な箇所で素材を注意深く「すくい上げる」ことで、構造体を地面から持ち上げ、幽玄な存在感を生み出している。
LOOPシャンデリア
流動的な幾何学とダイナミックなライティングを追求したシャンデリアシリーズ。マスク・シャンデリアは、エッジの隙間から光を放つしなやかな表面が特徴で、リップル・シャンデリアは水面の乱れを模倣し、光と影の移り変わるパターンを映し出す。彫刻のようなエレガンスと進化する視覚体験を融合させたデザインとなっている。
アンドブラックデザインスタジオ
2012年にジュワラント・マハデヴワラとカニカ・アガルワルによって設立されたアンドブラックデザインスタジオは、インドのアーメダバードを拠点とする学際的な事務所。建築、インテリア、アートインスタレーション、オーダーメイド家具など、70以上のプロジェクトを手がけている。同スタジオは、最初のコンセプトがデザイン開発の各段階に反映される、統合されたプロセス主導の手法を採用している。同スタジオのデザイン理念は、素材に優先順位を置くことである。