布と身体をめぐるソフトスカルプチャーの新展開を東京で発表

runurunuによる個展《א》が新宿・歌舞伎町のアートスペース「デカメロン」で2026年2月27日から3月29日まで開催される。runurunuは衣装やファッションアイテムの制作から活動を開始し、近年は布を用いたソフトスカルプチャーやインスタレーション、パフォーマンスへと表現を拡張してきた。素材との往復運動のなかで生まれる複雑なパターンは、突然変異や増殖を繰り返す生命体を想起させる造形として展開している。adf-web-magazine-runurunu-1

これまでの作品は、人体を起点とした“服”から出発し、やがて人体から離れたインスタレーションへと展開してきた。タツノオトシゴとジェンダーをモチーフとした作品や放射相称状の構造体などを経て、機械やテクノロジーも生物の一部として扱い、布と統合した新たなソフトスカルプチャーへと至っている。その変遷は、生命の進化のプロセスを再演するかのような軌跡を描く。

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bODY mATRIX(s), 2021 Dimensions variable Fabric, aluminum, silicon, carbon, rubber, laser

代表作には《bODY mATRIX(s)》(2021)、《III》(2023)、《Death fugue》(2025)などがある。《bODY mATRIX(s)》はFabric、aluminum、silicon、carbon、rubber、laserを用いた可変サイズの作品。《III》は260×110×110cm、Fabric、stainless steel、aluminum、plastic、water、light、laserで構成。《Death fugue》はFabric、stainless steel、aluminum、pump、resin、silicon、plastic、motor、wineなど多様な素材を組み合わせたインスタレーションである。

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III, 2023 260×110×110 Fabric, stainless, steel, aluminum, plastic, water, light,laser

本展では、あらためて「人体を有している」という事実に立ち返り、人間のスケールでは扱いきれない現象を、人間の身体を通して経験することに焦点を当てた新作群を発表する。新作《rs》は椅子型の作品で、鑑賞者が実際に座り映像を鑑賞できる構造を持つ。映像作品《ga,》はジョルジュ・バタイユの「太陽肛門」から着想を得て、太陽のプロミネンスや日蝕、観測地点という概念を交錯させながら制作された。

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Death fugue, 2025 Dimensions variable Fabric, stainless, steel, aluminum, pump, resin, silicon, plastic, motor, wine

runurunuは本展について、「人間とは何かではなく、どのような配置が人間という像を生じさせるのか。観測位置の一つとしての人間と不可視の存在を探る」と述べている。2021年制作の《א》を転機として人体構造から距離を取ったように見えたrunurunuが、新たな視座のもと再び身体のスケールへ向き合う現在地を示す展覧会となる。

runurunu プロフィール

runurunuは彫刻やインスタレーションを通して、生命の起源や進化、宗教的主題を探求している。性別や器官の関係性を欠いた存在をアナロジーや象徴によって再構築し、ポストヒューマンハードウェアとして提示する。作品は人間と非人間、内と外の境界を撹乱し、生命の可能性と人間存在の脆弱性を示唆する。主な展示に「Spectral Drift」AUDRA festival(Kaunas 2025)、「ABDUCTOR」Embryogallery(New York 2025)、「XO.1」WHITEHOUSE(Tokyo 2024)、「Reliquary」Fondo Luogo(Milan 2023)、「null」Hyperlink(Athens 2023)、「Junk's ports」ANOMALY(Tokyo 2023)、「Morgue」DOMICILE(Tokyo 2023)、「I.O.N 2 Dirty Laundry」KEIV(Athens 2022)、「blcn」balcony studio(Los Angeles 2022)、「bodymatrix(s)」MCG21xoxo(Matsudo 2021)などがある。

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Reliquary, 2024 193×125×125 Fabric, stainless steel, aluminum, brass, plastic, wine

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Relic, 2023 140×105×210 Fabric, stainless, steel, aluminum, light, resin latex, plastic, laser

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Installation view of 93 and Ⅲ

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93, 2022 200×110×110 fabric, silicon, stainless, steel, alminium, acrylic, rubber, pleasurestic, speaker, laser

デカメロン

デカメロンは2020年、新宿・歌舞伎町の中心地に開廊。店名は、14世紀ヨーロッパのペスト禍を背景にボッカッチョが著した物語集『デカメロン』に由来する。2階を展示空間、1階をバーとし、アーティストと来場者が交差する場を形成している。2021年4月にはギャラリースペースを増床し、実験的な現代アートの展覧会を継続的に開催している。adf-web-magazine-runurunu-9

runurunu 個展「א」開催概要

会期2026年2月27日から3月29日まで
会場デカメロン
URLhttps://decameron.jp/