ニューヨークの郊外にあるMagazzino Italian Art: パート4
この美術館のように全ての場所に光が差し込むのは意外と珍しい気がします。
もちろん、日本建築ユニットのSANAA(サナア Sejima and Nishizawa and Associates)さんの手がける幾つかの美術館のように、自然光がたくさん入るガラス張りの美術館、デンマークのLouisiana Museum of Modern Art (ルイジアナ美術館) のように、外と中の空間、両方を行き来するような美術館、それから建物と庭園両方を楽しめる美術館や、建物の中に中庭空間やサンルームがある美術館など…、振り返れば色々なパターンがありますね。
たまに、建築家が設計した窓や光の設計が、作品を保護する目的で塞がれたりすることがあるそうです。
身近な例であげると、東京の上野にある国立西洋美術館も、元々Frank Lloyd Wright氏が設計した時は自然光が入る予定の部屋があったと聞いたことがあります。しかし現在は、室内に飾る絵の保護目的でその窓は塞がれているそうです。
他の美術館ですと、窓のない展示室とは別に、大きな窓のある展示室や、中庭のような場所、もしくは通路のような場所など、自然光ゼロの部屋と、自然光が入る空間の両方が建物全体の中で共存していることが多い気がするのですが、この美術館に関しては、全ての展示空間が常に外の光と関係性を持って存在している印象を受けました。
晴れている日なので、室内の様子は白くて明るいですが、雨の日や夕暮れなど、天候や季節によって、また別な表情がみられそうですね。
それでは中の様子ももう少し見ていきましよう。
お!これは… 少し前にお話しした、重要ポイント、L字型を繋ぐガラスの増築部分ですね!
増築部分の通路の様子。こういうことを把握したり、後から調べてみると、改めて別な楽しみ方や気づくことが出てきます。最近は、古い建物を増築して作られた美術館や建物も多いので、その増築部分のつなぎ目や、古い部分と新しい部分の境目を見るのは、なかなか面白いポイントだと思います(あくまでも趣味的な見解です)。
通路を外から見るとこんな感じ。確かに、中を歩いていると展示物に集中しているせいか気づきにくいですが、右の建物の外壁と左の建物の外壁、高さも質感も全然違う2つの建物ですね…!
通路の外には薄く水が張られています。反射する建物と空の高さにに引き込まれます。L字型の2つの建物の内側がこの広々とした中庭的空間です。遠くには入り口にあったボールが。ベンチで静かにぼんやりすると何時間でも過ごせそうですね。
自然に囲まれたこの場所で、ほぼ無人の状態で過ごせるこの美術館は大勢の観光客が集まる有名な美術館で過ごすこととは違った価値を感じました。空間の感じ方は、音や周囲の様子で全く変わると思うのですが、人がほとんどいない状態で、この広々とした空間を堪能できるのはかなりの贅沢です。
もう一度館内へ戻り、少し歩いて…。
美術館の外にも、いくつか野外作品があるとのことで、外に出てみました。
ベンチとして座ることのできる石の作品。
近くの樹木から、木の葉がはらはらと舞い落ちてきました。のんびりと景色を楽しみます。
ベンチの上で自然に囲まれながらのんびり。最後に入り口へ戻ってきました。
シャトルバスに乗って駅の方へ戻ります。
さて、美術館を楽しんだところで、今度はcold springの街並みを楽しみましょう。Cold Spring's Main Street は19世紀の街並みが続く歴史的な地区。「歴史的」というと、ヨーロッパの中世のような街並みを想像してしまいますが、どちらかというと、一昔前の懐かしい雰囲気の通りです。
マンハッタンやブルックリンとは違い、素朴でのんびりとした空気感。ビンテージショップが何件か並んでいて、楽しいです。コロナ渦以前の週末に訪れたのですが、もともと人が少ない静かな場所です。
他にも色々なお店があったのですが、なんとなく写真撮影をしてはいけないような小さなお店が多かったので、外観や、外から見える部分を中心に少しだけご紹介します。
ビンテージ ショップの店内は、珍しい美術品から中古の日用雑貨まで、あらゆるものが雑多に並べられています。もしかしたらRussel Wrightの掘り出し物も見つかるかも…?
そんなレトロっぽい街の中には、昔からあるお店に混じり、若者の始めたモダンな雰囲気のお店も。
古いお店も新しいお店も、共通して言えるのは、なんとなくのんびりとした雰囲気であること。
Russel Wrightもこの大通りを歩いたことがあったのでしょうか。そんなことも考えながら、しばらく街を散策。気がつけば太陽が沈み、日が暮れ始めました。そろそろ電車に乗って帰ることにします。ただいま、Cold Spring Station。駅で電車を待っていると、あたりはだんだんと暗くなってきました。
さあ、再び電車に乗って主発地点のグランドセントラルステーションへ!
あっという間の良い週末でした。短い間でしたが、文章で想像する小旅行、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。いつかコロナが収束して、機会があればぜひ行ってみてくださいね。