ニューヨークの郊外にあるMagazzino Italian Art: パート3

さて、そうこうしているうちに、そろそろバスの出発時刻も近づいてまいりました。もとの場所に戻って待つこと数分…美術館の名前のステッカーが貼られた、小さなワゴン車のような車が到着!窓に貼られたステッカーが眩しい。ああよかった。ほっと一安心です。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-21

小型のシャトルへ乗り込み、運転手さんとお喋りしつつ景色を眺めているうちに、あっというまに美術館へ到着。緑豊かな場所に突然現れた白い建物。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-51

ここでまず美術館の建物について少し簡単な説明をしましょう。

まず、美術館名” MAGAZZINO ITALIAN ART”ですが、この”Magazzino”という単語は「倉庫」の意味(英語でwarehouse。その名の通り、この美術館はもともとコンピューター製造業の倉庫でした。そのためこの美術館も、以前の構造をもとに作られています。

倉庫時代はもともと、L字型の建物だったそうなのですが、それを増築し、長方形にしたそう。そして、その増築部分とオリジナルのL字型の部分を2つのガラスの接続部でエレガントに繋いでいる、とのこと。広さは18,000 square feet以上の展示スペースがあります。

なるほど、ガラスの接続部分が気になります。注目ですね(後で紹介します!)。

建築年は2017年、建築デザインは、MQ ArchitectureのMiguel Quismondo (ミゲル・キスモンド)と、 AIA、そして施工はKalwall®, Airfloor system, Duro-Last, Saint-Gobainが手掛けています。

Miguel Quismondo はスペイン生まれの建築家。 マドリードで学んだのちアメリカへ渡りParkins&Will(パーキンズ&ウィル)のもとで働いた後、ALBERTO CAMPO BAEZA(アルベルト・カンポ・バエザ)と共同制作を手掛けています。Olnick Spanu(オルニック・スパヌ)のためにデザインやマネージメントなど複数の業務にわたって働きました。その後コロンビア大学やニューヨーク大学(NYU)でさらなる勉強を続けています。会社設立は2013 年と比較的新しい建築スタジオですね。

今回のテーマは「小旅行」ですので、作品を一つ一つ説明するより、散歩をする様な気分で、建物全体見ていこうと思います。さて、これが美術館の入り口です。ようやく到着です。いよいよ中へ!

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-3

まず最初に入り口で出迎えてくれたのは、丸いアート作品。奥にはイタリア国旗をモチーフにした作品が見えます。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-22

出迎えてくれるようで、嬉しい。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-24

さらに進んでみましょう。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-37

よく見ると新聞紙が貼り合わされてつくられています。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-38

球体の作品の横のガラス窓周辺の外の様子。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-39

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-40

ここが先ほどのL字構造を2つ繋いだ中間部の空間にあたります。画面中央奥に、ボールが見えますよね。球体の作品の向かいのガラス窓からみた外の様子です。

入り口からすでにお気づきでしょうか。この美術館、たくさん窓があり、外からの自然光が入ってくる場所がとても多いんです。

例えば先ほどご紹介した、新聞紙の球体や布の旗の作品なども日焼けしやすい素材なので、直射日光の当たる位置に置いてあるのはなかなか珍しい気がします。

時間の経過もコンセプトの1つであり、野外彫刻のような意識なのかもしれません。

それでは、まず最初の展示室を見てみましょう。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-23

無機質な空間から少しだけ顔を覗かせる外の日差しが閉塞感をなくしています。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-26

例えばこんな風に、外へ繋がるような段差と作品が組み合わさった窓。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-36

外の自然を眺めることのできる窓。足元まで大きく切り取られていて広々としています。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-34

正面から少し離れて見ると、まるで四角いフレームに収まった絵画のようです。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-49

天井も、大きく切り取られて窓があり、空が見えます。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-31

df-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-27

天井から射す自然光に照らされた作品の様子。インダストリアルな雰囲気を残した感じと、作品の組み合わせが、かっこいいです。

adf-web-magazine-magazzino-italian-art-in-ny-32

一般的に、美術館や美術ギャラリーというのは、作品を保護する目的で、強い自然光の入る窓は、作られていない部屋も多いですよね。振り返ってみると、窓のない場所と窓のある場所、両方が共存しているか、もしくは完全に光の入らない部屋のみ、という2つのパターンが多い気がします。

1 2 3 4