拡張する陶芸の概念 - 現代の陶芸に見る美意識
菊池寛実記念 智美術館で「菊池コレクション 現代陶芸のすすめ」展が2025年1月18日(土)から5月6日(火)まで開催される。本展は、会場である菊池寛実記念 智美術館の設立者・菊池智(1923~2016)が精力的に蒐集した20世紀後半以降の日本の陶芸作品を中心に構成される。菊池のコレクションは1983年にはスミソニアン国立自然史博物館のトーマス・M・エバンスギャラリー(アメリカ・ワシントン)で「Japanese Ceramics Today(現代日本陶芸展)」として展覧会が開催され、日米の貿易摩擦が問題となるさなかに日本の同時代の文化を紹介する展覧会として受け入れられた経緯がある。
日用陶器や茶陶をはじめとした道具としての器を想像させる従来の陶芸の概念は拡張され、現代の陶芸には用途や機能ではなく立体造形としてとらえる視点があり、素材や技法、伝統など陶芸にまつわる要素を独自の視点でとらえたオブジェ的な造形作品が存在する。作家によって作品の幅は多様になり、その思考や美意識に魅了され菊池は蒐集を続けていた。今回開催される本展では、1983年のアメリカでの展覧会に出品された作品をはじめ、1970年代から80年代の作品が中心に展示される。
出品作品
菊池寛実記念 智美術館
2003年、東京・虎ノ門に開館。設立者である菊池智が蒐集した現代陶芸を紹介するコレクション展のほか、戦後工芸史を代表する作家たちに焦点を当てる企画展、陶芸の今を探る公募展「菊池ビエンナーレ」などの活動を通して、工芸の魅力を発信している。
20代からやきものの蒐集を開始した菊池智。現代陶芸のギャラリーの経営や、スミソニアンでの「Japanese Ceramics Today(現代日本陶芸展)」の開催などを通して、現代陶芸を継続的に紹介するための良質な空間をつくりたいと決意し、美術館を設立する。同館の展示室は作品を間近に鑑賞できる露出展示、作品一点一点にスポットを当てる照明など、現代の陶芸作品を鑑賞するための様々な工夫が施されている。
「菊池コレクション 現代陶芸のすすめ」展 開催概要
会期 | 2025年1月18日(土)~5月6日(火) |
時間 | 11:00~18:00(最終入館 17:30) |
会場 | 菊池寛実記念 智美術館 |
休館日 | 月曜日(ただし、2/24、5/5 は開館)、2/25(火) |
料金 | 一般 1,100円/大学生 800円/小中高生 500円 |
URL | https://www.musee-tomo.or.jp/exhibition/ |