90年代以降の美術史における重要作が初公開

ポーラ美術館はフェリックス・ゴンザレス=トレス(1957-1996)の《「無題」(アメリカ #3)》を新たに収蔵し、2024年7月24日(水)から12月1日(日)まで「ポーラ美術館コレクション選」として初公開する。この作品は、42個の電球が連なる電気コードで構成された「ライト・ストリングス」シリーズの作品で、ゴンザレス=トレスの代表作の一つとなる。

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フェリックス・ゴンザレス=トレス《「無題」(アメリカ #3)》1992年 42個の電球、磁器ソケット、電気コード サイズ可変 ポーラ美術館
Photo : MASAYA KUDAKA

 

新収蔵作品

この作品は彼の他の作品と同様に、身近な電球を使用しており、電球の寿命が尽きると交換される。シリーズは1991年に作家の恋人がエイズで亡くなった直後から制作され、彼自身が同じ病で亡くなる約1年前までの数年間に作られた。電球の消耗は命の終わりや喪失を暗示しているが、一方で電球が交換されることで作品は再生を繰り返しながら存在し続け、限られた時間と永遠の時間の間にある生死の連続を鑑賞者に問いかける。

フェリックス・ゴンザレス=トレス

1957年キューバ生まれ。主にニューヨークで活動。1960年代のミニマリズムなどの動向を継承しつつ、電球や時計、鏡やキャンディなどの身近な素材を用いた作品を制作する。彼の作品は明快かつ詩的でありながら極めてラディカルで、ミニマリズムの文脈を再解釈するものであり、1990年代以降の美術史において最も重要な作家の一人で、今日に至るまで多くの後進に影響を与え続けている。

ポーラ美術館

2002年に「箱根の自然と美術の共生」をコンセプトに神奈川県箱根町に開館。印象派から20世紀にかけての西洋絵画を中心としたコレクションを核に展覧会を開催し、現代美術の第一線で活躍する作家たちの作品も収集・展示している。富士箱根伊豆国立公園の立地を生かした森の遊歩道では四季折々の自然を楽しむことができる。

開催概要

会場ポーラ美術館 展示室3
会期2024年7月24日(水)から12月1日(日)まで
同時開催展フィリップ・パレーノ:この場所、あの空
会期2024年6月8日(土)から12月1日(日)まで
会場ポーラ美術館 展示室 1、2、5、屋外
URLhttps://www.polamuseum.or.jp/