オープンした1999年11月1日から23年後にアーカイブサイトが公開
300日画廊は1999年11月から2001年3月まで、港区青山の雑居ビルの一室で運営されていたギャラリー。取り壊しが決まっていたため、300日の期間限定ということから「300日画廊」と名づけられ、実際にはビルの取り壊し期間の延長があり約400日間運営された。300日画廊がオープンした1999年11月1日から23年後、改めてその記録をアーカイブしたサイトが公開された。
300日画廊」は、作家であり画廊の主宰者でもあった佐藤洋一(1967-2008)を中心に、賛同した作家たちの協力によって、今では珍しくなった非営利のインディペンデント・ギャラリーとして設立。1999年11月1日に第1回写真家の小林正昭によるヨーゼフ・ボイスのポートレート作品によるインスタレーションによってスタートした。
表参道駅からほど近い立地の港区北青山にあった取り壊しが決まっているビルの一室を作家たちが共同でギャラリーとして改装した空間で、インスタレーションを中心にした展覧会が2001年3月までに全36回開かれた。前半は主に代表である佐藤洋一が何らかの形で共鳴できる作家に声をかけ、後半は作家側からアプローチして展示に至るケースもあった。いずれにしても、300日画廊の展示にはどこか一貫した美意識や各展示が共鳴し合う部分があり、その点において他のギャラリーとは一線を画した、独自の空気が存在していた。
佐藤洋一は300日画廊の後に時限美術計画、Gallery≠Galleryといった場を独自に企画 / 運営することになるが、2008年1月14日に惜しくも41歳で他界した。3つのギャラリーを通じて作品を発表し続け作風を確立していった作家も多く、それらを支えた自由な空間、それを自力で貫いた佐藤の功績は小さくない。基盤となったのはこの300日画廊の存在であり、アートが経済に依存せず自由な存在として成立した場として、改めてこの時代に再確認することの意味がある。
300日画廊アーカイブサイトについて
ひとりの写真家が撮り続けたドキュメンタリーとしてのアーカイブ
300日画廊のサイトに掲載されている展示風景や作家ポートレートは、すべて写真家の園田昭彦ひとりによって自主的に撮影されたもの。写真自体も作品として撮り続けていたため、いわゆる記録写真とは異なった趣になっており、作品と共にそれらに真摯に取り組む当時の各作家たちのドラマ性も表されている。また20年以上前であるため、すべてデジタルカメラではなくフィルムで撮影されており、4 × 5のポジフィルムを連結させた表現など、アナログメディアの魅力を活かした表現となっているのも魅力のひとつとなっている。
非営利のインディペンデント・ギャラリーであるため空間を大胆に使ったインスタレーションが展開
当時の関係者による寄稿文
300日画廊設立当初からの参加作家であった石川雷太や全展示の撮影者である園田昭彦など、当時の関係者によってそれぞれの立場から記された寄稿文を掲載。今後も他の作家のコメントや関連情報を追加していく予定。