一連のアーチで開放的な空間を形成する
pARCはノースカロライナ大学にあるチャペルヒルのコミュニティとアックランド美術館のためのオープンエンドなプログラマブルスペースとして、アーバン・コンガによってデザインされた。アーバン・コンガのスタジオは、コミュニティの関係者と美術館の代表者の参加型デザインワークショップを通じて、この空間をデザインした。
アックランド美術館はチャペルヒルにある無料の美術館で、館内では様々なプログラムが行われているにも関わらず、多くの地域住民は美術館やその内容を知らないようだった。pARCは美術館のオープンテラスに設置され、現在アクランドで行われているイベントなどのプログラムの延長として、美術館と道路をつなぐ橋渡し的な役割を果たすようにデザインされた。このデザインは、芸術施設において遊びがどのようにツールとして活用されるかを示し、人々が作品と空間に触れることを可能にしている。道行く人々を美術館に誘い、以前はその空間に入ることに抵抗があった人々を惹きつける。このインスタレーションは、すべてのユーザーが美術館や大学、そしてお互いに新しい方法で関わることができる、変幻自在の共同プラットフォームとなる。
pARCのデザインは博物館のジョージアン様式の建築を模倣すると同時に、それと対照的なものでもある。左右対称のコロニアル建築を互いにつながった一連の円弧に分解することで、遊び、集会、演奏、教室、会話、さらには昼寝をするための無限の方法を思い起こさせる柔軟な共同空間となった。この空間的は利用者のアイデンティティを保ち、遊べるデザインによって、社会的な障壁を取り除き、空間の中で共同体のつながりを喚起する。また、ユニバーサルデザインにも配慮され、誰もが利用できる空間となるよう設計されている。芝生の下にはサステナブルメッシュシステムが敷かれ、車椅子での移動が可能でありながら、芝生がその中を伸びていくようにデザインされている。
それぞれのアーチは周囲の状況を映し出すフレームとして機能し、利用者が異なるレンズを通してこの地域を見ることを可能にしている。このインスタレーションはユーザーに反応するだけでなく、ダイクロイックレンズを通して周囲の状況を反射・屈折させて同時に地面やパネル自体に影を落とすことで、環境にも反応している。また、日中と夜間の両方の光を空間の中に遊びと驚きを呼び起こす道具としても利用されている。
アーバン・コンガについて
アーバン・コンガはニューヨーク州ブルックリンを拠点とする国際的なアワードを受賞した複合デザインスタジオで、自由な遊びを通して社会活動や地域交流を促進することに焦点を当てた多様なクリエイターグループで構成されている。彼らの作品は既存の都市インフラに絡み合ったマルチスケールの遊べる機会のエコシステムとして、日常生活を破壊することなく、むしろそれを追加する「遊べる都市」のアイデアを探求している。