華僑文化に敬意を払い、自然に溶け込むコミュニティ・パーク
SoBA(ソフト・ビルド・アーキテクツ)が手がけた昆山の華僑経済開発区にあるオーケストラ・パークは、2つの川の合流地点に沿って8,500平方メートルに広がり、2つの高密度住宅地の間に位置している。クスノキやアカマツの木が生い茂り、湿地帯が近くにある立地である。本プロジェクトではスケートボード・エリアを統合し、自然の森林を保護し、トイレなどの必要な設備を追加する必要があった。
生態系の保全を優先し、緑豊かな自然の隠れ家を提供しながら、あらゆる年齢層が楽しめる機能的でモダンな公園を意識してデザインは行われた。都会の空き地を市民に開き、地域に愛され活気あるレクリエーション・スペースへと変貌させることが命題となった。住民の多様なニーズに応えながら、豊かな自然体験を提供する近隣の緑のオアシスであり、社交の拠点となるような緑地を目指して進められた。
竹笛や二胡などの楽器を用いた江南絹竹音楽は、その優雅な旋律で知られ、2007年に昆山の無形文化遺産に認定されている。この文化遺産に影響を受け、音楽のリズムを反映した滑らかなラインと自然なフォルムを取り入れたデザインを採用。公園のレイアウトはこれらの楽器から着想した曲線を用い、レクリエーションと音楽の立体的な表現を融合させ、住民に自然と文化の調和を提供することを目指した。
自然林と起伏のある地形を最大限に保存するため、土地の現況を十分に尊重し全体的なレイアウトを行った。絹と竹を象徴するフォルムを中心に構成し、公園全体を貫く円形のジョギングコースが徐公橋路と南北に隣接する2つの住宅地を結んでいる。この道はまた、公園を川辺の緑地帯と活気あるレクリエーション・ゾーンの2つの主要エリアに分ける役割も担う。
川辺の緑地帯のデザインは、既存の森林と植生の保全を優先し、介入は最小限にとどめている。川岸には水辺の展望台が設けられ、自然の樹冠の下には曲がりくねった探検路が設けられた。この緑地帯は自然林と植栽デザイン、機能的なスペースがシームレスに統合され、開放的なエリアと鬱蒼としたエリアがバランスよく混在し、住民に緑豊かな憩いの空間と、自然とつながる体験をもたらすことが想定された。
華僑の文化遺産を保護しつつ様々なアクティビティを統合するコミュニティパークであるオーケストラ・パークは、季節を楽しめ、レジャーや探検もでき、瞬く間に地域住民のお気に入りの場所となった。あらゆる年齢層が楽しめるこの公園は、自然の隠れ家であると同時に、活気ある集いの場でもある。
SoBA
SoBA(ソフト・ビルド・アーキテクツ)は2020年に設立され、現在蘇州とシアトルにオフィスを構えている。建築デザインと周辺環境の調和のとれた共存を育む革新的な建築に従事。SoBAの設計範囲は、建築、ランドスケープ・デザイン、インテリア・デザイン、都市インフラ、米国における高級注文住宅プロジェクトに及ぶ。代表的な作品には、スカイ・シティ幼稚園、オーケストラ・パーク、帆の烽火などがある。