2030年完成予定の、モントリオール最大の島公園「ジャン=ドラポー パーク」の再開発計画が発表

2020年から2030年にかけて行われる、モントリオール最大の島公園「ジャン=ドラポー パーク」の再開発計画が、専門的知見を結集して3年以上にわたって行われた徹底的な調査と分析を経て発表された。公園が提供できるものを再考し、より豊かなユーザー体験を実現する公園の未来像が明らかになった。

adf-web-magzine-parc-jean-drapeau-1

Photo credit: NIPPAYSAGE

モントリオール市のジャン=ドラポー パーク事務局が主催した大規模な協議会には、6,000人以上の一般市民が参加し、再開発プランについての協議がなされた。ここでは、公園の歴史的建造物などの遺産の保全と、水と緑に囲まれた貴重な自然資源の保全とのバランスを保つことが、市民が共有するビジョンであることが確認された。そして、ジャン=ドラポー パークが、自然、歴史、文化、スポーツ、全ての要素との密接な関わりを維持しつつ、環境保全に貢献するサステイナブルな進化を遂げることで、地域住民だけでなく海外から訪れる人々をも惹きつける、モントリオールの象徴となるような公園に生まれ変わるプランが提案された。

adf-web-magzine-parc-jean-drapeau-8

Photo credit: NIPPAYSAGE

主要な取組み

10年にわたる再開発計画は、整備されたインフラと一流のエコシステムを備えた公園を提供し、モントリオールの緑豊かな都市としての世界的な位置付けを確かなものにする、地域への投資である。ランドスケープと建築は、それぞれNIPpaysageとRéal Paul Architectesが手掛けた。公園の遺産を尊重しながら、既存の課題をクリアし、今日のランドスケープ建築における最先端の技術で、アイデアを形にしていった。その結果、包括的で変化に富み、地域に開けた緑豊かな公園のプランが完成したのである。2030年までの具体的な取組みは下記のとおりである。

  • 1967年の万博の主要プロジェクトのひとつとして建てられた、屋外劇場「Place des Nations」を、集会や実験、教育の場として活用できる多層階の広場へと全面改装すると同時に、周囲の設備や海岸へのアクセスを改善する。
  • ふたつの島を繋げる、生態系に配慮した連絡橋を建設し、公園全体の天蓋を30%増加することで、自然資源の保護を強化。
  • 島の川岸に、ダウンタウンの景色が望める15キロの遊歩道を建設。
  • 車以外の移動手段を推奨することで、公園内の自動車の通行と駐車スペースを削減。安全な環境を実現するとともに、空いたスペースの緑化を行う。
  • 既存のコスモス遊歩道を、水辺に直結した、水上の遊歩道に進化させる。ここではサイクリングも楽しめる。
  • 照明システムを増強。環境への負荷を抑えたライティングで、アイコニックな建物や歴史的建造物をライトアップ。歩道も明るく照らし、夜の公園の新たな顔を楽しめるライティングを完備。
  • 遊歩道を多層階にまたがって構築。公園を俯瞰する多様な視点を提供し、より多くのユーザーが、より多くのエリアや設備にアクセスすることを可能にする。
  • 水域、特にノートルダム島周りの環境の復元と保全を行い、ウォータースポーツの活動を可能にする。
  • Plaine des jeuxを、オープンな緑地に改修。街と川の眺めを望む、開けたスペースで、リラックスしたくつろぎのひと時を過ごす事ができる。
adf-web-magzine-parc-jean-drapeau-10

Photo credit: NIPPAYSAGE

adf-web-magzine-parc-jean-drapeau-13

Photo credit: NIPPAYSAGE

ジャン=ドラポー パーク事務局について

モントリオール市により設立された、都市公園の再開発計画を統括する事務局。健全かつ共生可能な活動を推進し、後世に続く持続可能な社会の実現を可能にする再開発を目指す。

ジャン=ドラポー パークについて

モントリオールのホチェラーガ諸島の一部、セントローレンス川とウタウエ川の合流地に位置する、セントヘレン島と人工のノートルダム島にまたがる公園。13世紀にファースト・ネーションが定住した地であり、市内で初の主要公園として、1967年の万博や1976年の夏季オリンピックなど、国際的な大規模イベントを含む様々なイベントの会場となってきた。敷地内の施設の改築や改修は都度行われてきており、現在も多様なスポーツやレクリエーション、文化活動の場として活用されている。

adf-web-magzine-parc-jean-drapeau-2

Photo credit: NIPPAYSAGE