グリッドの持つ可能性を考える

金沢工業大学五十嵐威暢アーカイブで2025年度企画展「ON THE GRID」が2期にわたり開催される。第1期は2025年4月28日(月)~8月31日(日)、第2期は2025年9月22日(月)~2026年1月18日(日)の予定となっている。両期を通して常設展示「五十嵐威暢-「環境」を求めて」も行われる。

「ON THE GRID」展では、グリッドで覆われた空間に所蔵品である五十嵐威暢の作品や制作資料が展示されている。五十嵐が愛用した道具や雑貨、友人の作家やデザイナーによる作品なども含まれている。混沌とした状態のものたちをグリッドという規則にはめ込むことでひとつの秩序が生まれる一方、共通の単位に落とし込まれたものたちは均質的に見られてしまう危険もはらむ。グリッドは五十嵐が生み出したデザインや彫刻作品にも用いられているがそれらにはどんな意図があるのか。本展を通じて、グリッドの持つ可能性や制限を手がかりにしながら考察する。

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1970年代より盛んになる景観や公害の議論と並走するなかで、人々の生活と密接に結びついたデザインやアートの実践に取り組んだ五十嵐。五十嵐の「環境」への意識は、建築や都市に展開されるグラフィックデザイン、作品が設置される場やそこに集う人々との関係を重視する彫刻作品へと越実した。常設展示となる「五十嵐威暢-「環境」を求めて」においては、「環境」への意識を補助線に、五十嵐の歩みを概観する。

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スーパーグラフィック ユニー一宮店_1975

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五十嵐威暢アーカイブ収蔵庫

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五十嵐威暢アーカイブ企画展示室

五十嵐威暢アーカイブ

金沢工業大学は、急速に変化する社会からの要請に応えるべく、これまで取り組んできたSTEM教育に「デザインとアート」を柱とした感性教育を融合すること、そしてその研究の充実と実践を行うことを目指している。五十嵐威暢アーカイブは、そのための新たな学びの場として2023年にオープン。本施設には、彫刻家、デザイナーの五十嵐威暢から寄贈された5000点もの作品や資料が収蔵されている。多様なコレクションを活用した独自のプログラムを通じて、学生たちが独自の視点で世界を感受し、創造する力を引き出す活動を推進している。

五十嵐威暢アーカイブ2025年度企画展「ON THE GRID」開催概要

会期第1期:2025年4月28日(月)~8月31日(日)
第2期:2025年9月22日(月)~2026年1月18日(日)
会場五十嵐威暢アーカイブ 金沢工業大学ライブラリーセンター2F
URLhttps://tinyurl.com/kxenkb2y