先住民の遺産に触れ 学ぶことができる空間
オンタリオ州スーセントマリーにあるアルゴマ大学の新しい中心施設であるムクワ・ワカアアガン先住民文化センターの建築デザインは、建物の形態から材料の選定に至るまで先住民の教えを考慮され、世界中から訪れる人々が先住民の遺産に触れ、学ぶことができる空間を提供することを目的としている。
キャンパスの入り口には1875年から1970年まで運営されていた元レジデンシャルスクール、シングワック・ホールがあり、この学校が正式に閉鎖されて以来、シンガク同窓会の子どもたち(CSAA)はアルゴマ大学と協力し、カナダにおける寄宿学校制度の歴史について真実を教え、復興に向け取り組みを行っている。新文化センターの建築表現は過去、現在、未来を表す3つの小道を通って上昇し、レジデンシャルスクールの上に立つという土地に由来している。そしてレジデンシャル・スクールの上に立つことで、この土地の歴史をより強く、より支配的に、そしてより威厳を持って見つめることができるようになった。

View Ascending the Landscaped Roof via Intertwining Paths
Photo credit: Moriyama & Teshima Architects
モリヤマ&テシマ・アーキテクツについて
モリヤマ・アンド・テシマ・アーキテクツ(MTA)は、建築家、プランナー、デザイナーからなるチームで、ビジョンを持つクライアントと協力し、コミュニティを変革し、市民のアイデンティティを強化する刺激的かつ永続的な空間を構築し、建築、マスタープラン、都市デザイン、インテリアデザイン、プログラム開発などのサービスを提供している。カナダ国内外での豊富なプロジェクト実績は、博物館や美術館、大学、学校、信仰に基づく空間、企業や政府の本部、娯楽施設、図書館、修復・改修プロジェクト、都市・キャンパスプランニングなど多岐にわたる。デザインの成功は課題と解決策に総合的にアプローチし、常に敷地、建物、文脈、複数の視点を統合して、全員が誇りに思えるような建築の現実に取り組む共同作業に根ざしていると考えている。
スモーク・アーキテクチャー
スモーク・アーキテクチャー (SAI) は先住民が所有・運営する会社で、2014年以来ファーストネーションと先住民のプロジェクトに重点を置いて、完全な建築サービスを提供している。主任建築家であるエラディア・スモークが率いる彼らのデザインは、伝統的なテリトリーで何をどのように建設するかについて数千年の専門知識を持つ長老やコミュニティリーダーによって導かれ、彼らが歩む道は現代において先住民の知識を再発見することでもある。この土地に根ざした学びのプロセスは各プロジェクトに適用され、それぞれのコミュニティや場所のために特別に作られたエンゲージメントツール、デザインテクニック、建築システムを用いている。SAIはデザインプロセスの初期段階からコミュニティとの関わりを重視し、実績ある共同デザインアプローチを用いたリスニング戦略は、豊かなアニシナベック民族を反映するために重要なデザインレスポンスの成功と関連性を強化している。