丘の地形を利用した空間構成が特徴の流線デザインの住居
ロサンゼルスのベルエア地区の丘の上に建つ住居「RO54」は、太平洋とロサンゼルス盆地を一望するプロジェクト。開発で区画分割される前の自然の地形を再現した台座(ポディウム)に、アーシア・アーキテクツがデザインを手がけた流線形のダイナミックな建物を配置している。戦後開発の空洞化が進むこの地の開発では、空間の質よりもサイズに重点が置かれるようになっているが、本プロジェクトでは規模を縮小し、周囲の地区と調和しながら厳格な規制に準拠することを目指している。
このプロジェクトでは、住宅の機能を最適化するために空間の関係性を探求している。一般的な積層構造の代わりに、丘の地形に沿って階層を分割するスプリットレベルのデザインを取り入れ、異なる階層をつなぎ合わせている。床板は、視覚的にも機能的にも隣接しているため、バラバラに配置されていたものが2倍有効に活用でき、従来の区画化されたレイアウトと比べて利便性が向上する。
本プロジェクトのデザインは、車体の流線型デザインからインスピレーションを受けており、先進的なテクノロジーを家の中に無理なく取り入れる狙いがある。内部の色彩は実用性を重視し、ダイナミックな全体のデザインアプローチとは対照的である。この審美性と機能性の調和は、環境への配慮と洗練された素材の選択を重視しながら実現されている。
「RO54」は、カリフォルニア州の厳格な環境建築およびエネルギー保存基準をクリアした、環境に優しい住居である。台座から自然光が注ぎ込む中庭は、敷地全体の雨水排水フィルタリングシステムとして機能する。さらに、低流量の配管システム、耐干ばつ植栽、雨水の浄化、太陽光発電の統合、高効率の建物外装とガラス、機械システムのHERS評価など、先進的な機能を充分に備えている。
室内の素材は、低VOC(揮発性有機化合物)基準を満たすため、天然のものにこだわっている。色彩は最小限に抑え、ミカのしっくい、ハードウッドの床、天然石などの様々な素材使いでバリエーションを生み出している。環境に配慮した高性能の機能的な建築空間が、流線形のデザインなどの感覚的な演出を伴って実現した珍しいプロジェクトである。
国際的なアワードを多数受賞
本プロジェクトは、これまで18個もの国際的なデザインアワードを受賞している。
- A Design Award 2023
- ACDA - Architecture, Construction & Design Awards-2022
- AMP - Architecture Masterprize-2022
- Architect of the Year Awards-2022
- Best Of Year_ Interior Design Magazine-2022
- Built Design Awards-2022
- Credaward-2023
- Global Future Design Awards-2022
- IDA - I Design Awards-2022-Ro54
- LABC - Los Angeles Architectural Awards-2022
- LIT - Lighting Design Awards-2022
- LIV Hospitality Design Awards
- London International Creative Competition-2022
- LOOP Design Awards-2022
- Outstanding Property Award London-2022
- SIT-Interior Design of The Year-Professional
- Titan Property Awards-2022
- UDAD-Urban Design & Architecture Design Awards-2022
Arshia Architectsについて
Arshia Architectsは、2006年設立のロサンゼルスを拠点とする建築デザイン事務所。美的体験と建築行為のテクトニックなギャップを意図的に融合させた革新的な手法で知られている。空間と建築環境の探求に専念する中で、建築に影響を与える複雑な課題や制約に対するユニークな解決策を提供し、空間の新しい捉え方に取り組んでいる。
手掛けたプロジェクトは、アメリカ建築家協会、ロサンゼルス建築賞、国際インテリアデザイン協会など、多くの国内外の組織から高く評価されている。スタジオとしては、現代建築に関する最初の回顧展にて、南カリフォルニアの35の革新的なスタジオの1つとして、現代美術館(MOCA)によって選ばれている。