サンソンデザインスタジオによる屋内に”都市熱帯雨林”が広がる南波湾レセプションセンター
湿地に裏打ちされた中国銀川文化公園に隣接するこの土地には、数千エーカーのレイクシティが美しい景色の湾を形成している。南坊湾に向かって流れる冠河は、建物を半月形で囲むように流れ、まるで腰に巻きついた翡翠ベルトのような美しさを建築の景観にそえている。
豊富な水資源は「自然、科学、人文科学」というこのプロジェクトのテーマを示している。サンソンデザインは水際の生活のエコロジカルなメリットを活かし、訪問者が生態学的な都市化生活と文化遺産を体験しながら、山や湖と一体になって建築を存分に楽しめる空間を目指した。
自然生態学
広大な建物の入り口にある「時間のホール」は、屋内熱帯雨林に足を踏み入れる前のいわば儀式的な感覚に満ちたプロジェクトの始まりを演出している。日差しをシミュレートした木製のドームの下には、「人生は良いものを楽しむことに費やされるべきである」と記された円形のウォータービューデバイスがあり、光、花、景色を存分に楽しめる落ち着ける空間になっている。
レセプションホールは、絵のように美しい無秩序な竹林、ガジュマルの木、オオバコ、さまざまな新緑の植物、そして木製のテーブルと椅子が縦に伸び、屋内の熱帯雨林を形成している。このミニチュア「都市熱帯雨林」は、屋内、風景、そしてガラスデザインの有機的な組み合わせによって実現した。
頂上を見上げると、伐採された松やヒノキの木が吊るされており、見上げる訪問者を自然に戻し、忙しい生活に疲れた心に栄養を与える。廊下には丸太が並び、植物や起伏のある木々を使用することで空間を豊かに彩っている。ガラスのドームがは外部からな内部へと部屋に光を引き込み、アトリウムを照らしている。
「熱帯雨林」から出て、砂のテーブルの展示エリアに足を踏み入れると、小さな自然のエコロジカルな景観と石の壁のコントラストが空間を強調している。豪華な照明やインンスタレーションは一切ない。砂のテーブルの上にある柔らかいフィルムが天井を使って光を集中させ、不滅の苔が装飾的なカーペットになっている。これは自然のテーマを反映している。小さなボートを漕ぐようなものだ。見上げると、太陽の光、下を見れば葦があふれる。川のほとりをゆっくり歩いたり、ユートピアの休日を過ごしたり、砂漠の夕日を眺めたりするような感覚を呼び起こす。
科学と人文科学
レセプションホールの左側に読書バーがある。床から天井まで届くガラスが自然光を取り入れ、透過性を高め、読者はこの「黄金の家」で静かな読書時間を楽しむことができる。バーと廊下の間の本棚の壁は、起源をたどることができるドアとなっている。設計者はここで銀川市水路廃墟の概念を取り入れ、3万年前の古代銀川の繁栄した歴史的遺産を、樹脂と鉄で作られた「封印された」動物の化石標本で表現している。
ダイニングエリアでは、連続したアーチ要素が、空間の調和、コミュニケーション、暖かさを反映し、異国情緒をもたらしている。メロンとフルーツ模様の明るい壁紙、竹のスクリーンと窓の格子、オリジナルの木製のテーブルと椅子はすべて、自然の生態学的特徴を引き継いでいる。
レセプションエリアは明るくプライベートな空間になっている。麻縄で織られた特注の吊り下げランプが銀河のように輝く。半巻きのフランネルで作られたオフィスチェアは、双方に快適さと安心感を与えている。
手入れの行き届いた中庭には独特の特徴がある。床から天井まである球体状の木製の彫刻は、あたかも岩や葦のように、「土手の反対側」で不動で、それは独特の牧歌的な風景のようだ。
スイミングプールの外側のガラス壁は、人々が空中を泳いで世界中を旅しているような錯覚を引き起こす。プールのそばの長い木製のベンチと石の彫刻、そして柔らかいフィルムの天井が、木、水、音楽、自然光のすべてを空間の中でブレンドしている。
サンソンデザイン
1999年に中国の深センに設立された、高度な管理システムと多分野にわたる専門的な設計チームを備えた革新的な設計機関。本社をはじめ、革新的なオフィススペース、建築ファサードの改修、ホテルのデザインなどを手がけている。過去20年間で300以上の企業と個人のクライアントに、モダンでプロフェッショナル、パーソナルでユニークなサービスを提供している。