パーム・ジュメイラの洗練された邸宅

建築事務所SAOTAが手掛けた、ドバイのスカイラインを見渡すパーム・ジュメイラのGフロンドに位置するヴィラは、アルパゴ・プロパティーズの依頼で開発されたもので、CK建築インテリアが実施設計と施工を担当した。控えめで洗練されたシルエットが特徴のこの住宅は、静かなラグジュアリーを体現している。

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Chris Goldstraw

最大の敷地利用を目指し、洗練された豪華さを備えた住宅を求められた今回のプロジェクトは、設計チームに自由な発想を可能にし、周囲の高級感に調和しつつも建築的かつ表現豊かな作品を生み出す機会が与えらた。このプロジェクトの主な目的の一つは、ランドスケープや景観を住宅内に取り込み、住人の日常的な体験の一部とすることであった。敷地が水辺に近いことにインスピレーションを受け、トルコの石灰岩や珊瑚の質感を模したスタック構造を採用した。

通りに面する側はプライバシーを保つために意図的に堅固な外観を持たせているが、そのディティールは素材のコントラストやスラブエッジの表現や透過性のある素材など、複数の要素が一体となり、堅固さだけではない事がわかる。内部に進むと通りの堅固さが徐々に開放感へと変わり、最終的には海に面する側が超高透過性の空間へと展開。建物の構造からくり抜かれたダブルボリュームのテラスや中庭が、自然光を取り入れるだけでなく、周囲のランドスケープが視覚的に空間に織り込まれている。

ヴィラは4層にわたり、各フロアが最適な機能を果たすようデザインされている。1階と2階にはリビングスペースと寝室が配置され、屋外テラスに直結しており、地下階にはガレージとスパ、屋上階にはバーやエンターテインメントエリア、プールが設けられ、絶景を楽しむことができる。

自然素材の使用もまた、屋外とのつながりを強化している。大判のトラバーチンタイルや木材、アーストーンマーブルなどが使用され、ラグジュアリーでありながら控えめなデザインが特徴となっている。さらに、公共スペースではシンプルで洗練された印象を与え、プライベートスペースでは一層の豪華さをもたらしている。屋外エリアも同様に居住性が最優先され、快適な生活ができるようデザインされ、屋上では光を調整するためのパーゴラやテラスが設置され、内部の中庭や深いオーバーハングがパッシブクーリングに貢献し、快適なアウトドアライフをサポートしている。

SAOTA

SAOTAは南アフリカを拠点とする建築事務所で、洗練されたモダンなデザインと環境との調和を重視したアプローチが特徴。世界中で数多くの高級住宅や商業施設を手掛け、その先進的な設計が国際的に評価されている。作品は現代的な美しさと機能性を兼ね備え、都市と自然の境界を曖昧にする独自のスタイルを持っている。