風景に溶け込む建築
カナダ・ケベック州、サン=イポリットのフォーネル湖を望む急斜面に建つアトリエBOOM-TOWNによる「インターバル」は、厳しい地形条件を設計の核へと転換した住宅である。地形に逆らうのではなく、傾斜に寄り添いながら展開する二層構成が、湖と森林の移ろう風景をフレーミングしている。
建物は明暗二色の木材で仕上げた2つのヴォリュームから構成され、そのコントラストが周囲の森との調和を保ちながら、形態の明快さを際立たせている。「インターバル」という名は、時間と空間の“間(ま)”を象徴するもの。静けさと内省のためのひとときであり、また光や風、人の動きが自由に行き交う空間的な余白でもある。
上階(約88㎡)には、キッチン、ダイニング、リビングが一体となった開放的な生活空間が広がる。床から天井までの大開口が湖のパノラマを取り込み、木の天井が屋根の勾配に沿って伸びることで、高さと温もりを感じさせる。空間の中心には黒い暖炉が据えられ、磨かれたコンクリートの床が静かなモダニティを添える。隣接する網戸付きのベランダやテラスは、室内生活をそのまま屋外へと延長している。
下階(約147㎡)はプライベートな空間として設けられ、主寝室と専用バスルーム、2つの寝室、第2のバスルーム、そして仕事や余暇のための柔軟なスペースが並ぶ。敷地の高低差を生かし、すべての部屋が直接外の自然とつながっている。
テラスは斜面に沿って段状に配置され、湖を見下ろす高台から木々の間に沈む静寂の場所まで、さまざまな自然との関わり方を生み出す。建築の力は、その控えめな佇まいにある。均整の取れたプロポーション、洗練された素材、そして環境との自然な一体感が、静かな美を生み出している。
「インターバル」は、ケベックの湖畔住宅の原型を現代的に再解釈し、開放と親密、構築と静寂のバランスを保ちながら、建築は風景の中の“もの”ではなく、その中に溶け込む“ひととき”として佇んでいる。
- Dining room / Kitchen Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- West side Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- Aerial view, Lake Fournelle Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- Kitchen Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- Kitchen Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- Entrance Photo credit: Vincent Brillant, photographe
- Main bedroom Photo credit: Vincent Brillant, photographe
アトリエBOOM-TOWN
「ブームタウン・ハウス(Boomtown house)」とは、1890年から1920年にかけて、鉱山や工業地帯の近くに急速に発展した“マッシュルーム・タウン(瞬く間に成長した町)”に多く建てられた住宅形式を指す。シンプルなファサードと正方形の外観が特徴で、屋根は平ら、もしくはほぼ平らである点が当時としては革新的だった。広い内部空間と低コストの建設が実現できたことから、この住宅タイプは大いに普及した。
1世紀を経た現在、アトリエ・ブームタウン(l’atelier BOOM-TOWN)は、この歴史的な住宅の理念を現代的に再解釈している。人間のスケールに寄り添った建築を志向し、ブームタウン・ハウスの基本原則である「シンプルさ」と「効率性」に立ち返ることで、空間・光・素材を探求しながら、現代の暮らしに適応した住宅をデザインしている。

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