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バイオフィリック再生エコシステム導入の施設がローンチ

アムステルダムに拠点を置くGG-loopは、2020年11月10日、バイオフィリックデザインの再生エコシステムを導入した施設Mitosisを、技術コンサルティング会社のArupと共同でローンチすると発表。パラメトリックデザインを活用したバイオフィリックでユーザーセントリックなMitosisは、地球が直面する環境問題の深刻化を受けてさらに声高に叫ばれる健全な住居のあり方に応える、新たなソリューションとなりうる。

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MITOSIS XL - overview

Mitosisは、2019年にGG-loopが完成させ、複数の賞を受賞したアムステルダムの居住施設Freebooterの意思を継承している。モジュール化されたCLT(クロス・ラミネーテッド・ティンバー)の鎧張りで覆った外壁をはじめ、バイオフィリックを主構とした、自然を建築の中に取り込む手法で、生活空間の向上を図っている。これを多角的なスケールに展開したのがMitosisである。Mitosisとは、1個の母核が2個の娘核をつくる体細胞分裂から着想を得ており、各戸が独立して存在しつつも周囲と共生してゆける、そのモジュール性と長期適応力を表している。

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MITOSIS XL - view from pedestrian area

プラス効果のエコシステム

Mitosisは、環境に配慮した工法を取り入れた再生エコシステムを実現している。低コストで効率の良い組み立て式の材木とバイオ系素材を使用することで、エネルギー生産が消費を上回る資源循環型のシステムである。

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MITOSIS XL - view from a shared terrace

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MITOSIS XL - open space of apartment 5-45

社会的一体性を実現するデザイン

特徴的な偏菱形をしたモジュールは、機能面においても欠かせないアイテムだ。このモジュールを積み上げることで、共有屋外スペースを構築しながら、同時に各戸に少なくとも一つのテラスを設けることが可能となる。また、垂直に積み上がった中庭的なスペースは、開放的でありながらもプライバシーも守られる空間となっている。都市農業や垂直農業、グリーンハウス栽培ができる環境、緑に囲まれた廊下など、自然とのつながりを感じさせる設計により、住民のアウトドア活動の促進に繋がる。

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MITOSIS XL - drone view

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MITOSIS XL - kitchen-dining of duplex 16-27

技術的アプローチ

Mitosisは、BIM 3Dモデリングソフトウェアを活用したパラメトリックデザインで構築されている。ソーラー発電、風力、密度、垂直構造などを加味した様々な計算とシュミレーションをもとに作られたボリュームとレイアウト、そしてそれを複雑に構築するCLTモジュールの住空間は、これらの技術的アプローチによるものである。パラメトリックデザインツールをベースに、Mitosisは再生と自活が可能な建物の在り方を追求する。

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MITOSIS XS - view from the path

MITOSIS XS - terrace on the 1st floor

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MITOSIS XS - view of the open space at the ground floor from the stairs

GG-loopについて

2014年、建築家Giacomo Garianによりアムステルダムに設立。プロダクトから大型都市開発、不動産、リテールなどを幅広い分野でデザインを手掛ける。機能性だけでなく、その建物や空間の持つ物語性を重視。ユーザーを中心に考えた、オーガニックで洗練された、将来性のあるビジョンでデザインに取り組む。

Mitosis施設概要

タイプCLT構造の住居・複合施設
敷地面積22.110m2
建物面積181.833m2 (Mitosis-XL); 63m2 (Mitosis XS)    

デザイナー

Gianmarco Daniele, Chelsea Fu, Giacomo Garziano