Foster+Partnersが設計を担当したイノベーションハブ「DJI Sky City」がオープン
民生用ドローンと創造的なカメラ技術で世界をリードするDJIの新本社「DJI Sky City」が、2022年9月26日、中国の深圳にオープンした。設計は、数々の受賞歴をもつ世界的な建築家チーム「Foster+Partners」が担当。空における創造的コミュニティであるというDJIの哲学が、画期的な建築構造とマッチした、44階と40階のふたつのタワーから成る最先端のイノベーションハブ施設は、深圳の新たなランドマークとして存在感を放っている。
国境なきイノベーション
このタワーは会社の急成長に伴い、深圳のいくつかのビルに分散していたDJIの従業員を統合し、会社名である大疆新創(中国語で「国境のない革新」)を物理的に形にするという目的で建設された。高さ200mのDJI Sky Cityは、DJIが飛行技術のスタートアップからグローバルなイノベーションリーダーへと成長したことを象徴している。
DJIのオフィス、研究、開発エリアは、タワー全体で中央から大型のメガトラスで片持ち式に配置されており、遠目には建物が宙に浮いているかのような印象を与える。この規模の高層ビルで初めて採用された非対称の吊り下げ式鉄骨構造は、柱を必要としない革新的な構造で、建築的に「国境なきイノベーション」を表現する、途切れのないワーキングスペースを実現している。また、深圳のスカイラインを背景に、タワーには独特のアイデンティティを与えるV字型のトラス構造を設け、同社の最高レベルの製品開発手法に合わせたドローン飛行試験室が4階建てで設置されている。
105メートルの高さを持つこのタワーは長さ90メートルの吊り橋で結ばれており、この軽量な鉄骨吊り橋が2つのタワーをエレガントに結びつけています。この橋は、DJIのすべての部門が共通の目標に到達するためにどのようにつながっているかを示すシンボルとして機能している。
地上階は建物の底部と周囲の土地緑地の調和を施し、高低差のあるポディウムガーデンは一般にも開放。1階には地域医療センターなどの公共施設も設置され、開放的で心地良く、都市のコンテクストを尊重し、地域社会に貢献するDJIの意思表示ともなっている。
タワーエントランスからは DJI Sky Cityのワーキングスペースに対する実用的、美的、創造的なアプローチを垣間見ることができる。各ロビーには、禅の庭に囲まれた黒松が、版築の設計プロセスで作られた縞模様の壁を背景に展示されている。その結果、硬質な幾何学と起伏のある自然、明日の進歩と過去のルーツが調和し、互いに補完し合っている。
サステナビリティ
Foster+Partnersは、サステナブルなビルをつくりたい、というDJIの希望に答えるソリューションを開発した。まず、エネルギー消費を抑えながら、昼光を最大限に取り入れるフロアプランを設計。革新的なツインリフトシステムは必要なシャフトの数を減らし、使用可能なオフィスの床面積を拡大した。また、高性能な制御システムにより、オフピーク時のエネルギー消費量の削減も実現。雨水は貯水、雑排水は景観の灌漑に各々再利用し、モンスーン季の雨を和らげる。