日本初の本格的な近代建築運動を始めた建築家
国立近現代建築資料館で「建築家・堀口捨己の探求 モダニズム・利休・庭園・和歌」が2024年8月9日(金)から10月27日(日)まで開催される。国立近現代建築資料館は2012年の開館以来、国内における近現代を築いてきた著名建築家とその建築に関する数多くの資料を収集し、展覧会やデジタルアーカイブを通じて順次公開してきたが、本展は今年資料館に新たに建築家・堀口捨己(すてみ)の資料が加わったことを記念しての開催。
堀口は、大学卒業と同時に「分離派建築会」という日本初の本格的な近代建築運動を始めた建築家として知られている。「分離派建築会」とは自分たちは、それまでの建築、つまり明治以降、近代化と称して建てられてきた西洋の古典様式をまとった建築とは一線を画し(分離し)新しい建築を目指す、という宣言で、堀口は当時ヨーロッパで芽吹いてきた近代建築の流れをいち早く取り入れようとした。近代建築の巨匠として広く知られるル・コルビュジエが本格的に活動を始めるのとほぼ同時期の話であり、日本における堀口の存在は近代建築の世界同時多発性を物語るうえで貴重な存在といえる。近代建築の直線を用いた自由な構成に日本の数寄屋建築との共通点を感じた堀口は、徐々に日本文化へ傾倒。茶室研究も堀口の偉大な業績といえるが、それも近代の建築家としての眼差しによるものであった。
本展は、堀口捨己没後40年にあたる本年、各所で分散保管されてきた資料群が国立近現代建築資料館に寄贈され、堀口捨己建築資料として一堂に会することとなった。堀口の生涯にわたる活動を多面的、総合的に紹介する貴重な機会が実現した本格的な回顧展となる。
展示内容
分離派建築会と表現主義の影響(1920~1929)
建築作品に「分離派建築会」、「平和記念東京博覧会」、「小出邸」、「紫烟荘」、「双鐘居」
国際様式への傾倒(1930~1939)
建築作品に「吉川邸」、「岡田邸」、「大島測候所」、「若狭邸」、「忠霊塔設計競技案」
「日本」の探求(1936~1958)
研究及び建築作品に「茶室への関心の高まり」、「茶室の実測調査」、「八勝館八事店」
伝統と近代の境界を超えて(1954~1984)
建築作品に「サンパウロ日本館」、「万葉公園・万葉館・万葉亭」、「静岡雙葉学園」、「常滑市立陶芸研究所」、「清恵庵」
「建築家・堀口捨己の探求 モダニズム・利休・ 庭園・和歌」 開催概要
会期 | 2024年8月9日(金)~10月27日(日) |
時間 | 10:00~16:30 |
休館日 | 毎週月曜日 但し、祝日の月曜は開館し翌日休館 |
会場 | 文化庁国立近現代建築資料館 |
URL | https://tinyurl.com/4bbevj5r |