シカゴ「フンボルトパーク」-ラティーノコミュニティのための都市再生プロジェクト

シカゴのフンボルトパークにある、かつてのパイオニア トラスト&セービング銀行だったランドマーク建築が、コミュニティのための施設として生まれ変わる。これは、低所得者層が比較的多い南部/西部への投資を強化することで市の活性化を促すという、ライトフット市長が推進する施策の一環。5,390万ドルが投入され、休閑地となった建物を手ごろな価格の住居やラティーノ・カルチャーセンター、オフィススペースなどに再生するプロジェクトである。デザインを手掛けるJGMAをはじめ、ラティーノコミュニティと関わりの深い企業や団体が、プロジェクトの参画メンバーとして選ばれている。

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Photo credit: JGMA

建物の1階から3階には、ビジネス・テクノロジー・エデュケーション・センター(BTEC)やラティーノ建築家協会の協力のもと、ワークスペースやコミュニティスペースなどが建設される。建物の北側に位置する3,035㎡ほどの駐車場には、9階建てのビルが旧建物の延長線上に新築される。このビルには、手ごろな価格の住居棟(75戸)をはじめ、オフィスや図書館、駐車場などが入る予定。総合病院のフンボルトパーク ヘルスや、屋外のアメニティスペースも入り、住人や地域の人々にさまざまサービスを提供する。

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Photo credit: JGMA

今回のプロジェクトチームに選ばれた不動産、開発、デザイン、エンジニアの団体は全てラテン系のオーナーが運営している。この10年、このチームがシカゴ市内のラティーノコミュニティのために手がけたプロジェクトの数は30を超える。かつてのランドマーク建築の文化的価値を尊重しつつ、そのレガシーを引き継ぎながら、地域のためのカルチャーハブを形成すること。このプロジェクトの理念に共感したJGMAは、このビル内にオフィスを移転することを決め、アンカーテナントとして名乗りを上げた。

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Photo credit: JGMA

JGMAについて

フアン・ガブリエル・モレノ・アーキテクツ(JGMA)は、2010年、イリノイ州シカゴに設立された建築デザイン事務所。丁寧かつダイナミックな空間づくりで、地域とかかわり、人々の暮らしを豊かにすることを目指している。創設者兼代表のフアン・ガブリエル・モレノは、コロンビア生まれの建築家。実験的かつ社会意識の高いデザインで知られており、その活動はシカゴにとどまらず、国外でも多くのプロジェクトを手掛けている。