景観に根ざしたレセプションセンター

キャンプ・メルシエは、50年以上もの間、ケベック州で最も重要で活気のあるクロスカントリースキーの中心地のひとつとして知られている。海抜783メートル、ケベック・シティからわずか45分の場所に位置し、年間を通してアウトドア愛好家、研究者、野生動物の観察に訪れる学生らでにぎわう。2018年に既存のレセプション・パビリオンの調査をした結果、この建物は耐用年数を迎えているが判明し、アン・キャリア・アーキテクチャーが機能的な新しいパビリオンの設計を受けた。

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Photo credit: Adrien Williams

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Photo credit: Adrien Williams

自然と調和した建築

パビリオンのデザインは、木造の構造、シンプルなボリューム、低い傾斜の屋根など、昔の伐採キャンプを想起させる。垂直に設置されたダーク・スプルースのクラッドのラインは、切り出された木材の木目を活かしており、木造の外壁に開けられた開口部からは微妙な遊びがダイナミックな影を作り出し、その影は太陽の通り道に応じて一日中変化する。

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Photo credit: Adrien Williams

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Photo credit: Maxime Brouillet

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Photo credit: Maxime Brouillet

戦略的に配置された大きな開口部は風景や屋外の眺めを縁取り、太陽光を最大限に取り入れ屋内と屋外を統合する。暗い色の外壁と明るい色の開口部のコントラストは、木の皮と芯のコントラストから着想を得てパビリオンの建築的な表情を強めている。現代性と伝統を融合させたこのアプローチは、自然と調和し、季節の変化に適応し、先祖からインスピレーションを得たケベックの建築文化を反映している。

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Maxime Brouillet

木材の活用

万能な素材である木材は構造体、外壁、内壁、家具に使用された。柱と梁で工夫を施しガラス張りのエリアでは大きなスパンが可能になり、木材倉庫のような半屋外スペースでは、自然換気を確保するために透かし彫りのクラッディングシステムが採用されている。より閉鎖的な空間では、軽量な木造フレームシステムに地元産の木材を使用したサイディングが張られている。露出した木部には耐久性を考慮してダークなステインが選ばれ、覆われた木部には明るいステインが施された。木板張りの天井は瞑想エリアを温かみのある雰囲気で包み込んでいる。

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Photo credit: Adrien Williams

このような木材の活用が評価され、本プロジェクトはセコボア2025の「施設建築」部門で優秀賞を受賞した。

文脈に根ざした、現代のニーズに応える新しいパビリオン

周囲の景観はパビリオンにシームレスに流れ込み、冬にはウインタースポーツができる植生や、リラクゼーションエリアや野外炉を備えた自然の円形劇場がある。この場所の主な利用者であるスキー愛好家のニーズにも特別な配慮がなされ、その結果新しいパビリオンは日照を最大限に確保しつつ風から守られる位置で、スキーコースの近くに建設された。

新しいキャンプ・メルシエは、伝統と現代性を融合させ、自然やこの地の歴史との調和を保ちながら、機能性を備えることとなった。新パビリオンは控えめでありながら特徴的な建築表現を通して、持続可能で長期的なビジョンの象徴となった。単なるレセプションセンターではなく、利用者の快適さと自然の調和をデザインの核とし、新たな出会いと体験の拠点となった。

アン・キャリア・アーキテクチャー(AC/a)

1992年に設立。大胆かつ洗練された数多くのプロジェクトの建設を通じてケベック州の建築景観を豊かにし、後世に残る足跡を残している。設立以来、施設、文化、商業、住宅などあらゆる分野で、創造性とリーダーシップにより、各クライアントのために最高水準のサービスを提供している。