美術家・建築家 荒川修作+マドリン・ギンズによる世界初の死なないための住宅

東京都三鷹市にある三鷹天命反転住宅はアーティスト、建築家の荒川修作とマドリン・ギンズが設計した全9戸からなる集合住宅。2005年の竣工以来、荒川修作+マド リン・ギンズ東京事務所が管理運営を担い、一部を賃貸住宅として、一部を教育・文化プログラムを世界へ発信するスペースとして活動してきた。

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三鷹天命反転住宅 外観(撮影:加藤健 提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所)

2020年に天命反転住宅は大掛かりな修繕計画を進める予定であったが、新型コロナウィルスの影響で、全イベントの中止、定期的に開催して来た見学会や短期滞在プログラムの利用者の激減など、現在でも計画の見直しさえままならず、経済的にも苦しい状況が続いている。天命反転住宅を体験できる機会を失い、修繕が必要な箇所のダメージだけが拡がってゆくという、建物にとっての危機が増大していく。そこで、天命反転住宅の天命を反転させるべく、初となるクラウドファウンディングを実施することになった。

住民のモデルとなったのはヘレン・ケラー。ヘレン・ケラーならどんな空間に住みたいか、老若男女、どんな身体であってもその人ならではの使い方が見つかるそんな住宅を目指したのが三鷹天命反転住宅である。カラフルで床が凸凹していて球体の部屋があるなど、その一つ一つの要素に荒川とギンズの研究結果が込められている。 

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三鷹天命反転住宅 内観(撮影:中野正貴 提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所 © 2005 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of Madeline)

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三鷹天命反転住宅ショートステイプログラム(撮影:中野正貴 提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所 © 2005 Estate of Madeline Gins. Reproduced with permission of the Estate of)

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建築途中の三鷹天命反転住宅2005年(撮影:中野正貴 提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所)

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荒川修作+マドリン・ギンズ (撮影:山本真人 提供:荒川修作+マドリン・ギンズ東京事務所)

クラウドファンディングが目標とする1,000万円は、建物の安全面から今すぐ取り掛かるべき補修工事に必要な金額の1/2の金額。自己資金1,000万円と併せ、劣化が激しい建物共用部分の耐火塗料・防水工事を行う。 支援金額が1,000万円を上回った場合にはストレッチゴールを新たに設け、3棟に分かれた住居棟全 体の補修ーコンクリート部分のクラック/表面補修、塗装塗り替え・全ての外壁・開口部サッシュのシーリング打ち替え等を、集まった金額に応じて追加工事を行い、最終的には建物全体の補修工事完了を目指す。