2021年「建築ドローイングアワード」の優勝者にダフニ・フィリッパの「流体層 -洪水対応型景観性能」が選出

ロンドンにあるサー・ジョン・ソーン美術館は、「2021年建築ドローイングアワード」を2022年2月19日まで開催し、アワード優勝者ダフニ・フィリッパの「流体層-洪水対応型景観性能」をはじめ、昨年のファイナリストや部門賞受賞者のドローイングを展示している。博物館の学芸員チームはメイク・アーキテクツとともに、アワード5年間の「バーチャル回顧展」も制作した。

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Overall winner and joint Hybrid category winner Flood-responsive landscape performance by Dafni Filippa. Photo credit: Dafni Filippa

フィリッパのプロジェクトは、気候の非常事態を出発点としてテムズ川のバリアが破壊され鉄砲水が常態化した未来のロンドンを想像。地下深くに水膜を注入し、洪水からインフラを守るという解決策を提案している。メイク・アーキテクツの創設者で審査員のケン・シャトルワースは、アワード優勝者のダフニ・フィリッパのデッサンについて次のようにコメントしている。

審査員として、私たちは皆流体層に感銘を受けた。物理的なオブジェクトとドローイングの境界線を素晴らしい技術と想像力でぼかしており、ハイブリッドレンダリングの本当に例外的なドローイングになっている。

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Hybrid category joint winner: (Un)homliness, Part 1, Boji Hu. Photo credit: Boji Hu

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Digital Finalist: The Promenade through Enfield Town, Sachini Jayasena. Photo credit: Sachini Jayasena

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Hybrid Finalist: The Water Parliament - Bangkok City 2100, Tyler Lin. Photo credit: Tyler Lin

「2020-21年アワード展」と過去5年の「バーチャル回顧展」

過去2年間の応募作品はパンデミック時に周囲の環境と再びつながり、その環境を新鮮な視点で見る上で、ドローイングがいかに重要なメディアであったかを示している。また「バーチャル回顧展」では、2017年の初回から建築ドローイングアワードの受賞者ファイナリストによるドローイングを展示している。

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The Architecture Drawing Prize exhibition at The Sir John Soane's Museum. Photo credit: Martina Ferrara

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The Architecture Drawing Prize exhibition at The Sir John Soane's Museum. Photo credit: Martina Ferrara

The Architecture Drawing Prize / 建築ドローイングアワードについて

サー・ジョン・ソーン博物館、メイク・アーキテクツ、そして世界建築祭のコラボレーションによって創設された「建築ドローイングアワード」は今年で5回目を迎える。世界中から応募があり、現在最も革新的で優れた建築デッサンが展示される。審査にあたっては技術的なスキルやアプローチの独創性とともに、建築の可能性についてどの程度提言しているかが重要な判断基準となっている。

サー・ジョン・ソーン博物館について

ジョン・ソーン卿の邸宅は19世紀初頭から国立博物館として公開されている。教育や創造的なインスピレーションを得るための取り組みを継続・発展させ、国内で最も珍しく重要な美術館の一つとなっている。

メイク・アーキテクツについて

受賞歴のある国際的な建築事務所で、既成概念に挑戦し、優れたデザインを追求することで知られている。創設者であるケン・シャトルワースは長年にわたってその優れたデッサン技術を認められ、"Ken the Pen "というニックネームで親しまれている。