モダンレトロなデザインの新店舗。老舗カフェのピザパーラーで、ノスタルジックなひと切れを

商業施設向けの独特なインテリアデザインで知られる、カナダのデザイン事務所アトリエ・ゼビュロン・ペロンが、モントリオールの老舗カフェが新設したピザパーラー「ジャンティー・ピザ・パーラー」のインテリアを手掛けた。1959年から続くカフェの歴史や家族の遺産を受け継ぎながら、70・80年代のニューヨークのピッツェリアに敬意を表したコンセプトのもと、レトロとモダンのバランスが絶妙にとれた、シックでリラックスできる雰囲気の新店舗が完成した。

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

レストランのオーナー、アントニー・ジャンティーとは、2016年のレストラン立ち上げ時に続き、2度目のコラボレーション。レストラン隣に新設するピッツェリアのインテリアを任された。現オーナーが幼少期の多くの時間を過ごしたアーケードをはじめ、老舗カフェや家族が築き上げてきたものに敬意を表しながら、ノスタルジックな雰囲気に浸れる、現代的でアイコニックな空間を目指したプロジェクトがスタートした。

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

アントニーが提示した設定やデザイン要素の多くは、過去の記憶に影響を受けたものでした。その大切な思い出の断片をできるだけ活かしながら、ありふれた演出にならないよう心がけました。

ゼビュロン・ペロン

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

スタジオのデザイナー達は、刻まれた歴史を彷彿とさせながらも、経営者の野望や情熱を反映させた未来を受け入れる、そんなダイナミックな空間を創ることを目指した。そのために、過去の記憶を現代風に解釈することにフォーカスした。天井には既存のメタルの薄板をリズミカルに配置。1980年代の壮大な建築を象徴するような、ヴィンテージの要素が盛り込まれている。看板に使用されていた部品は、落ち着いた淡紅色の照明に再利用されている。これに、メタリックシャンパンのペイントを施したり、バックライトのスクリーンを搭載したり、技術的な課題に取り組むことで、ほんのりとしたピンク色の柔らかな雰囲気を演出することに成功している。

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

直線的なスペースに変化を持たせるため、床や壁、そしてバーを覆うタイルの模様を斜めに配置。この意図的で力強いパターンによる仕上げは、デザイン全体において最もインパクトを与えるものとなった。ビニール素材とマーブル素材のテーブルを並べたり、木材やバックライト付の鏡を壁面に施したり、アンバーのガラスの仕切りや古風なブラインドを採用したり、異なる新旧の素材を並置させることで、明るく、遊び心のある雰囲気が生まれている。照明から椅子、スツール、そしてパックマンのゲーム機に至るまで、個人のコレクションや広告掲載により集められたヴィンテージのアイテムが、空間に暖かみとオリジナリティ、そして懐かしさを加えている。

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

人は、親しみやすい空間で視覚と感情の両方で懐かしさを感じ、癒されます。建築性、独創性、ダイナミック性、そして懐かしさ、全ての要素を等しく盛り込んだ、心地よい空間を創ることに成功できたと思っています。

ゼビュロン・ペロン

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Photo credit: Jean-Sébastien Senécal

アトリエ・ゼビュロン・ペロン(Atelier Zébulon Perron)について

アトリエ・ゼビュロン・ペロンは、2008年に設立した、商業施設に特化したデザイン事務所。とりわけ、ホテルのバーやレストランのデザインにおいて定評があり、モントリオールでも一目置かれている。細部にまで気を配った数々のプロジェクトの成功により、業界でもベンチマークプレーヤーとして位置付けられている。カスタムデザインの照明や家具などで差別化を図り、現在に至るまで100件を超えるプロジェクトの実績がある。