レア・カラムによるアーティストブックを中心に 記憶と物質性を問い直す展示
ニューヨーク・イーストヴィレッジのCommon Thingsで、アーティストブックをテーマとした展覧会「Books as Objects, Books as Memory」が2026年5月14日から20日まで開催される。建築家・デザイナーのコマル・ケハールが手がける同スペースで、本展は書物を単なる情報媒体ではなく、記憶や身体感覚を宿す物質的存在として捉え直す試みとなる。最終日の5月20日には、デザインと記憶をテーマにしたパネルディスカッションも開催される。
展示の中心となるのはニューヨークを拠点に活動するアーティスト Rhea Karam(レア・カラム)のアーティストブック作品。ブルックリンの出版社 Small Editionsから刊行された2冊の作品は、1982年のレバノン戦争による家族の避難体験を背景として制作された。《1982》では、コンクリート製のスリップケースが歴史の重みや喪失の感覚を象徴し、書物そのものが記憶のアーカイブとして機能している。本展ではKaramの作品に加え、「家」「郷愁」「喪失」「回復」「帰属」「亡命」といったテーマを共有するアーティストブックを展示。タイポグラフィ、製本、紙、構造といったブックデザインの要素を通して、移動や断絶の経験を可視化する。デザインを歴史や個人の記憶を継承するための実践として位置付けている点も特徴となってる。
会場となるCommon Thingsは、マンハッタン・イーストヴィレッジに位置するデザインブティック兼キュラトリアルプラットフォーム。建築家・デザイナーのKomal Keharが率いるMira Projectsによって設立され、空間、オブジェクト、出版物を横断しながら現代デザイン文化を探求してきた。各オブジェクトに固有の物語性を見出すキュレーションを特徴としている。また、本展はニューヨーク市内で展開されるデザインフェスティバル「NYCxDesign」の期間中に実施される。デジタル複製が加速する時代において、「Books as Objects, Books as Memory」は、紙の重みや手製本の存在感を通して、印刷物の不可替性を静かに提示する展示となる。5月20日18時から20時には、Rhea Karam、Small EditionsのHannah Yukiko Pierce(ハンナ・ユキコ・ピアース)、Common ThingsのKomal Keharによるパネルディスカッションを開催。デザインがどのように記憶を保存し、伝達できるのかをテーマに議論が行われる。
Rhea Karam プロフィール
Rhea Karam(1982年生まれ)はニューヨークを拠点に活動するアーティスト。都市空間や公共の壁面を主題に、個人的記憶と集団的歴史の関係性を探求している。写真、版画、アーティストブックを横断しながら、歴史、移動、アイデンティティ、コミュニケーションをテーマに制作を行う。
Common Things
Common Thingsは、ニューヨーク・マンハッタンのイーストヴィレッジを拠点とするデザインブティック兼キュラトリアルプラットフォーム。展覧会、出版、パブリックプログラムを通して、素材表現と現代デザイン文化の接点を探求している。
Small Editions
Small Editionsは、ニューヨーク・ブルックリンを拠点とするデザインスタジオ兼出版社。アーティストと協働し、2部から500部までのアーティストブックを制作・刊行している。伝統的な製本技術と実験的な素材、多様なメディア構成を組み合わせながら、現代アートにおける書物の役割を探求している。
「Books as Objects, Books as Memory」開催概要
| 会期 | 2026年5月14日から5月20日まで |
| 会場 | Common Things |
| URL | https://common-things.com/ |

日本語
English



