映画ポスターもグラフィックアートである

展覧会「再訪 日本の映画ポスター芸術」が、国立映画アーカイブで2026年4月7日(火)から7月26日(日)まで開催される。映画作品の宣伝メディアとして、劇場や街角に貼られてきた映画ポスターはしばしば匿名的に作られてきた。しかし歴史の糸をたどると自立したグラフィック作品としての価値を主張するポスターを見つけることができる。本展では主に1960年代から1980年代に制作された90点以上のポスターを通じて映画とグラフィズムとの結節点を探る。

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1960年代以降は様々な才能が映画界と交差し、映画・美術・文学・演劇などのジャンルが絡まり合う中で粟津潔・横尾忠則・和田誠・石岡瑛子といった新世代のデザイナーが登場した。また日本アート・シアター・ギルド(ATG)の発足が業界内外のデザイナーを刺激したことで、映画芸術の革新の動きに並走する形で旧来のポスターのスタイルを変容させた。映画の情感を見事にすくい取ったものもあれば、意外性に驚かされる一枚もある。

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横尾忠則『新宿泥棒日記』
(1968年/日本/大島渚監督) 国立映画アーカイブ所蔵

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粟津潔『リトアニアへの旅の追憶』
(1973年/アメリカ/ジョナス・メカス監督) 国立映画アーカイブ所蔵

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小笠原正勝『恋の浮島』
(1983年/ポルトガル・日本/パウロ・ローシャ監督) 国立映画アーカイブ所蔵

展覧会の構成

第1章 《描く》映画ポスター―戦後期
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野口久光『禁じられた遊び』(1953年/フランス/ルネ・クレマン監督)
国立映画アーカイブ所蔵

娯楽産業として戦後復興を遂げた映画界がまず求めたのは、スターシステムに基づく「分かりやすい」ポスターだった。しかしその中でも、野口久光・土方重巳など映画の美質を深く理解し、絵画のスタイルで捉えようとした一群のアーティストがいた。

第2章 新世代のデザイナーたち―1960年代
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和田誠「草月シネマテーク『怪奇と幻想』」(1967年) 
国立映画アーカイブ所蔵

1960年前後に活動を始めた粟津潔・横尾忠則・和田誠ら新世代のグラフィックデザイナーは映画への強い関心を抱いた。映画業界の壁は厚かったものの、彼らはむしろ業界のデザイン的慣習に縛られない自由な発想と技法でアート・フィルムとの関わりを模索し始めた。

第3章 ATG(日本アート・シアター・ギルド)の衝撃
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檜垣紀六『ジャンヌ・ダルク裁判』
(1969年/フランス/ロベール・ブレッソン監督) 
国立映画アーカイブ所蔵

1962年、外国のアート・フィルムの配給に特化した日本アート・シアター・ギルド(ATG)が活動を始め、匿名だった業界内デザイナーも従来の規範に囚われない表現をポスターに持ち込んだ。ATGが1967年に低予算の日本映画製作に進出するとその自在な表現はさらに加速していった。

第4章 映画に挑んだデザイナー/アーティスト
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林静一『曼陀羅』
(1971年/日本/実相寺昭雄監督) 
国立映画アーカイブ所蔵

映画のアートワークの新しい流れはATGの外側にも拡がっていった。1970年代以降、時代の風景を形作った多くのデザイナー、イラストレーター、漫画家などが映画ポスターの制作にも招かれ、映画と緊密に伴走した。

「再訪 日本の映画ポスター芸術」開催概要

会期2026年4月7日(火)~7月26日(日)
時間11:00~18:30
会場国立映画アーカイブ 展示室(7階)
料金一般250円/大学生130円/65歳以上、高校生以下及び18歳未満無料
URLhttps://tinyurl.com/4xfmhybx