テーマは鼓動

デザインスタジオのGSMプロジェクトとビジュアルアーティストのジュスティーヌ・エマールが、2025年4月13日から10月13日まで開催される大阪・関西万博のフランス館において、常設展「鼓動(Pulsations)」を手がけた。人類、テクノロジー、自然の共通分母としての鼓動という統一テーマのもと、フランスのエスプリに浸ることができる。300万人の来場者を見込んでいる。

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EXPO2025_Pavilion_France_Exterior facade_day_Architecture Coldefy+Carlo Ratti Associati
Photo credit: Julien Lanoo

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS-Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard Photo credit: Julien Lanoo

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS-Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard
Photo credit: Justine Emard

GSMとエマールは、常設展示とそれを構成するタブローの全体的な物語から共同制作。鼓動という統一テーマのもと、体験のための芸術的・空間的原則を作り上げた。

鼓動: ハートを鼓動させる

エマールは、小指に結ばれた目に見えない糸は私たちを他の存在と結びつけ、運命を決めるという日本の赤い糸伝説からインスピレーションを得て、フランスが提案したテーマに沿った体験のコンセプトを開発した。 この伝説によってアーティストとスタジオは、赤い糸、手、鼓動する心臓といういくつかの明確な線に沿って体験の原則を考案、原則は「Pulsations」と題された展覧会のコンセプトに影響を与えた。

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS_Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard Photo credit: Julien Lanoo

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS_Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard Photo credit: Julien Lanoo

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS_Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard Photo credit: Julien Lanoo

過去と現在の遺産を祝う

ロダンの彫刻から、ノートルダム大聖堂を包囲した火災から救出されたキメラ、そしてエマールとGSMが考案したデジタル・アート・インスタレーションに至るまで、展覧会では遺産的な要素が現代的な作品とともに展示されている。それぞれの芸術媒体が緻密にシンクロすることで、来場者を鼓動のエネルギーに没入させる総合的な芸術体験が生み出されている。

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EXPO 2025_Pavilion_France_Interior Exhibition_PULSATIONS_Across the Archipelago, the Great Pulsation-Design_GSM Project_Emard Photo credit: Julien Lanoo

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EXPO2025_Pavilion_France_Intérieure- Exposition_PULSATIONS-A Descent into the Heart of the Earth_Design_GSM Project_Emard Photo credit: Justine Emard

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EXPO 2025_Pavilion_France_Exhibition_PULSATIONS_A Magical Encounter at the Threshold of the Exhibition Photo credit: Justine Emard

展示の最後では、二人は 「列島を越えて大脈動 」と題したタブローを展開。遺産とマルチメディア・ショーを組み合わせたこのインスタレーションは、愛のコンセプトに浸る最後の力強いものとなっている。文化や自然のシンボルを通し、フランスと日本を結ぶ力強い絆を描いた3つのコンセプトの島々で構成され、遺産保護や生物多様性保護に対する両国の取り組み方を示している。島々は、首里城とノートルダム大聖堂の火災から救出された作品を結びつけ、厳島の聖域とその有名な鳥居の歴史をモン・サン・ミッシェル修道院と結びつけ、日本とフランス領ポリネシアの生態系の出会いを演出する物語となっている。フランスと日本は、情緒豊かな未来への想像の中で共鳴しあっている。

GSMプロジェクト

ビジター・エクスペリエンスとエキシビション・エクスペリエンスの創造を専門とするデザイン・スタジオ。モントリオール、シンガポール、パリを拠点とし、65年以上の経験と、世界120都市以上で1,000以上のプロジェクトを手がけている。ドバイのブルジュ・ハリファでの展望体験や、10年以上にわたって国際的なツアーを行っているスター・ウォーズTMのインタラクティブ展示会「アイデンティティーズ」、シンガポール国立博物館、アジア文明博物館、カナダ歴史博物館、ポワンタカリエールなどの主要な博物館とのコラボレーションで高い評価を受けている。

ジュスティーヌ・エマール

ビジュアル・アーティストで、デジタル・インスタレーション、映像、パフォーマンス、ヴァーチャル・リアリティの組み合わせを通して、私たちの生活とテクノロジーの新しい関係を探求している。彼女の作品の出発点は、ディープラーニングの実験と人間と機械の対話である。東京の森美術館やロンドンのバービカン・センターなど、世界中の著名な施設で作品を発表。数々の賞やレジデンシーを受賞し、2023年にはフランスの「文化功労女性100人」に選出された。2021-22年と2023-24年には、フランス国立現代芸術スタジオ、フレノワのゲストアーティスト・教授を務めた。2025年、大阪万国博覧会フランス館アーティスティック・ディレクター。