グランプリ作品は期間限定展示

コクヨと建築系スタートアップ VUILD(ヴィルド)が共催するデジタルファブリケーション技術を活用した建築・家具のデザインを募集する国際コンペティション「Digi Fab Award 2025 by KOKUYO×VUILD」がグランプリ1作品、優秀賞2作品、佳作5作品を発表した。「Personal and Public」をテーマに作品募集を行い、国内外26か国から合計143点の作品が集まった。グランプリ作品は2025年11月18日(火)から11月21日(金)までコクヨ品川オフィス「THE CAMPUS」に、また10月17日(金)から約1か月間ヴェネチアのヨーロッパ文化センター「Palazzo Mora」で展示される。

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コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」パブリックスペース「PARK」

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「TIME SPACE EXISTENCE」VUILD展示スペース(写真:Celestia Studio HIGH)

受賞作品

グランプリ(1作品)
  • 作品名「Strata Engawa」

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作品概要:
日本の伝統的な「縁側」を、地層から着想を得た積層木材構造として再解釈した「Strata Engawa」。等高線のような自然な形状は、座る、寝転ぶ、集うなど多様な過ごし方を誘う機能的なプラットフォームとなる。アシンメトリーな構造により、瞑想に適した個人的な空間と、家族連れが楽しめる開放的なエリアを両立させた。温かい木肌が自然との一体感を高め、静かな思索と人々の交流が共存する場を創り出す。

作者:Superficium Studio(Samuel Esses,Jonathan Wong)

優秀賞(2作品)
  • 作品名「A LOOSE COLLECTIVE FOR CIRCULAR TIMBER PRACTICES」

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作品概要:
老朽化が進む街路樹をマテリアルとしての木材ととらえ、都市における大きな循環の中に位置付けるための一時的なストックのあり方を考えた。3つの部材をねじり嚙み合わせたリングによって水平方向の広がりのみを拘束するこの小さな架構形式は、運搬・組立・分解が容易であり、しかも部材の一部を取り去っても全体の形状を維持することが可能である。公共への貢献と個人の都市体験が交わる場所に、新たなDigi Fabの意義を見つけた。

作者:中倉徹紀、中川功大、堀智洋

  • 作品名「BIOTOPE OF TABLE」

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作品概要:
私たちは都市舞台となる大きなテーブルをつくる。テーブルとはハンナ・アーレントが唱えたメタファーであり、ここでは都市にいる個が互いを意識しつつそれぞれの活動を結び付ける概念を意味する。ここでは従来の平面的なテーブルから脱却し、三層の微地形に生まれ変わることで、スケールを横断した様々な個が程よく集うことができる居場所をつくる。テーブルを囲うように集う。これこそが新たな公共性の風景となることを期待する。

作者:安達慶祐、田名部滉人

佳作(5作品)
  • 作品名「Leaf chapel」

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作品概要:
礼拝堂は人々が集まるパブリックな機能がありながら祈るというパーソナルな行為が行われていいる。ただ、礼拝堂に訪れたことのない人には中で何が行われているか日常的に目にすることはできない。閉じられた建築ではなく、内部の様子が感じられる公共空間内のオープンな場であれば、多様な人々が気安く訪れることができるのではないかと考えた。ひととき日常から離れて自分自身や大切な誰かを思い、祈るためのパブリックスペースのデザインである。

作者:安藤良和

  • 作品名「DWELL OBJECT」

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作品概要:
「ひとりでいること」と「誰かと共にあること」のあいだは、「或る存在」が人と他者の関係を媒介することで生まれる。DWELL OBJECTはその「或る存在」として、多様な人々に寄り添い、それぞれの場をつくり出す。建築と家具の中間に位置するそれは、身体性と空間性を相互に支え合い、「Personal」であり「Public」でもある体験を与え、日常に新たな関係性をもたらす存在である。

作者:稲野邊義紀

  • 作品名「grove」

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作品概要:
様々な樹種の自然木板材を加工し組み立て、ひとつの構築物を制作するシステムとかたちのデザインの提案。3軸CNC加工による簡易的な接合部で構成可能な全体の幾何学に則り、色や形、木目や産地が異なる多様な個性を持った自然木は集まり、小さな森を形成する。再構成された板材は、空間における位置やスケールに応じて新たなふるまいを示す。木に触り、座り、物を置き、五感を通して木と人がつながり、人々はひとつの森に包まれていく。

作者:風祭覚

  • 作品名「空の場」

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作品概要:
洞窟のようなルーフと屋根に腰掛けるようなベンチが1つのサーフェスとなり、それ自身が構造体となったデザイン。人々は、ルーフ天井の開口から差し込む光に誘われて足を踏み入れ、自然と空を見上げる。光の眩しさや、空に見える何かについて言葉を交わすかもしれない。外側のベンチ部に座る人は、スリットの隙間から漏れ聞こえるそんな会話を聞ききながら、同じ空を眺める。

作者:芥川佳世

  • 作品名「CoAxis: Flux Chamber」

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作品概要:
回転モジュールの開閉・変形によって多様な空間を生む「CoAxis: Flux Chamber」。各ユニットは共有軸を中心に動き、隣と連携してプライベートな空間から共有の場へと緩やかに移り変わる。一つのユニットの動きが他に波及する繊細な機械的連携は、孤立とつながりが絶えず変化する風景を創出。これにより個人の存在が他者に影響を与え、空間の合意形成が生まれる。公共家具の静的なあり方に挑む本作は、他者との関わりの中で空間を形作り、また自らも形作られる、物理的かつ社会的に動的なシステムである。

作者:Jianang Wu,Zhaoyang Cui

「Digi Fab Award 2025」グランプリ作品展示 開催概要

会期①2025年11月18日(火)~11月21日(金)
②2025年10月17日(金)~11月23日(日)
時間①9:00~18:00
②10:00~18:00
会場①コクヨ品川オフィス「THE CAMPUS
②ヨーロッパ文化センター「Palazzo Mora