他民族文化にみられる街の建築

ところでシンガポールと言えば、他民族文化の国。中心地ではゴミ一つないクリーンで人工的なリゾート地というイメージがありますが、カジノやショッピングモールなどの高級観光地を一歩離れれば、エリアに よって様々な文化や宗教が入り交じっています。 リトルインディアやチャイナタウン、アラブストリート、プラナカン文化が残されたカトン地区など、歩く街角ごとに雰囲気が異なります。

シンガポールの大きさは、だいたい東京23区ほど。その中に総人口約540万人の人々が住んでいま す。そのうち中華系が7割以上、続いてマレー系、インド系が主要な民族構成となっています。そんな 色々な文化が混在しているので、なんと公用語は4種類!国語はマレー語ですが、公用語は英語、中国語、マレー語、タミル語。そして言語だけでなく宗教も実に多様です。主には仏教、道教、イスラム教、キリスト教、ヒンドゥー教などが信奉されています。

それぞれの地区には宗教行事が行われるお寺やモスクがいくつもあり、見学する事も可能です。

次はいくつかのモスクやお寺を紹介して行こうと思います。

Masjid Malabar(マラバールモスク)

先ずはこちら。別名Golden Dome Mosqueとしても知られているイスラム教の寺院です。セントラルエリアのヴィクトリアストリートにあります。

スルタンモスクのスタイルとして建てられており、ブルーとホワイトラピスラズリのタイルの外装で覆われています。その数は驚きの約2万枚!またこのモスクは金色のドームがあることから、小さなスルタンモスクの従姉妹というニックネームもつけられています。1956年に施行し1963年に完成しました。スタイルは伝統的ですが、新しい建物なんですね。

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Sri Veeramakaliamman Temple スリ・ヴィラマカリ・アマン寺院

こちらはシンガポールの中で最も古いヒンドゥ−教の寺院のひとつ、 Sri Veeramakaliamman Templeです。1881年インド人のパイオニアにより、リトルインディアの中心に位置するセラヌーンロードに建設されました。屋根の上の装飾が圧倒的です。破壊を象徴する「女神カーリー」を祀っているそうです。

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外壁は赤と白のタイルが貼られたストライプ、遠くから見てもかなり派手です。塀の上には動物や神様達が座っています。現実と非現実の世界が入り交じっているような境目。

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Sri KrishnaanTemple スリ・クリシュナン寺院

もう一つの古いインドのヒンドゥー教寺院はこちら。ブギス・アラブストリート地区にあるクラシックな南インドスタイルの寺院です。A g a m a S a s t ra というインドのお寺の形式に基づいて 1870年に建てられ、その後何度もリノベーションがされました。通りに直接面した門には、実に様々な神様が集合しています。

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中でもとりわけ目を引くのは、お猿さんの顔をしたこちらの大きめの像。ハヌマーン(Hanuman)という神様。西遊記の孫悟空のモデルとしても有名なおヴァナラという猿族で戦いの神、そして 風神ヴァーユの化身です。また日本の桃太郎の原型とも言われているインドの叙事詩「ラーマーヤナ」では大活躍している神様でもあります。

Sultan Mosque スルタンモスク

1924年施行、1932年完成。大きな黄金のドームが特徴のシンガポール最大のシンガポール最大のイスラム教寺院モスクで、モスク内はおよそ5,000人もの人が礼拝する事が出来ます。アラブストリートの象徴的存在で、1日に5回、礼拝の時間になるとここを中心として周囲一帯にコーランの音が鳴り響きます。モスクは見学できるものが多いですが、このモスクは特に観光客も多かったです。

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室内はグリーンを基調とした装飾。中には綺麗な絨毯がしきつめられている豪華な装飾です。外観の印象とは随分違い、想像以上に広く感じます。写真のエリアは信者の方が礼拝をするゾーンで立ち入る事が出来ませんが、その手前のエリアでは観光で訪れた見学者達が沢山いる場所が設けられています。

モスクというと、礼拝などの宗教儀式が行われる静粛な場なので、観光で中に入るのは少し躊躇してしまうかもしれません。しかしこれまで紹介してきたモスクや寺院は基本的には見学時間内やきちんとしたルールを守れば自由に見学可能です。特にここのモスクは規模の大きさのせいか、外国人観光客の数がとても多く、寺院側も、観光客用に、肌の露出を押さえる布を配布するなど、手際良く案内を行っていました。室内ではフラッシュ撮影は禁止ですが、基本的には写真撮影も可能で、布を纏ってグループ写真を楽しむ人の姿が多く見られました。

Kuan Yin Thong Hood Cho Temple 観音堂 

シンガポールで一番古い仏教寺院です。1895年に現在の場所に建設されました。お寺の周辺ではお線香やお花、お供えをもった大勢の参拝客で日中はたいへんごった返しています。お線香を手にしながら、真剣にお祈りをするシンガポールの人々の姿が印象的。中華系寺院だなので、参拝者も中華系の人が多かったです。

その他の建築

最後に、街で偶然見かけたカラフルな建築の写真をいくつか紹介して締めくくりたいと思います。日本では見かけないような原色でペイントされた壁が印象的でした。

今回、ご紹介したのはシンガポール建築のごく一部ですが、このように超現代的な建物から、宗教的でユニークな建物、そして一般的な建物の合間にみられるカラフルな建物など、実に多様な文化で構成された土地であると実感することが出来ました。また、都市計画全体に風水の思想が背景にあるのも、街全体に独特な空気を創りだしている要素なのかと思いました。

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青と黄色の幾何学系の建物。

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隣同士のお店の色がはっきりと塗り分けられた通り。

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虹を連想させるような3色のストライプ。

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個人宅でしょうか。こちらも濃い山吹色。

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真っ赤な壁。

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青とオレンジ色のコントラストが強い壁。ヨーロッパでも黄色の壁はたまに見かけますが、シンガポールの黄色のほうが原色に近いはっきりとした黄色を使っているように見えます。周囲の色とのコントラストが強いせいかもしれません。

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カラフルな壁と瓦屋根、そして背後のビルのコントラストが印象的なシンガポールらしい風景。

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