ミラノから世界へ──色彩・素材・未来志向の空間デザインの軌跡を振り返る

ミラノを拠点とするデザインスタジオ、Original Designers 6R5 Networkが2026年に創立55周年を迎え、工業コンサルティング、建築、デザインの分野における半世紀以上の活動に節目を刻んだ。1971年の設立以来、同スタジオはヨーロッパ、アジア、アメリカを横断する国際的なネットワークを築き、多様な企業や機関との協働を展開してきた。

これまでにMapei、Florim Group、Pirelli、Artemide、Villeroy & Bochといった主要企業に加え、ミラノ市などの公共機関とも協働。プロジェクトは、工業デザイン、展示システム、建築計画、ブランド戦略に至るまで多岐にわたり、技術的専門性と創造的ディレクションを横断する学際的アプローチを特徴としている。

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UNION CORPORATION Handle UL710 - Aluminum 1996 – 1997 Design – Studio Original Designers 6r5 Network - Milano

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UNION CORPORATION Handle UL710 - Aluminum 1996 – 1997 Design – Studio Original Designers 6r5 Network - Milano

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2019 - 2020 - Cement Tile Series - Milano Style Collection - US - Lili Cement Tile

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2019 - 2020 - Cement Tile Series - Milano Style Collection - US - Lili Cement Tile

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代表作の一つが、ミラノのポルタ・ガリバルディ近郊に位置する旧鉄道塔「トッレ・アルコバレーノ」の再開発である。1990年のFIFAワールドカップに合わせて刷新されたこのプロジェクトは、大胆な色彩とセラミック外装によって構造物の印象を一新した。その後も更新が重ねられ、現在では都市再生の象徴的存在として、既存インフラの再定義を示す事例となっている。

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1990 - 2026 - Rainbow Tower

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1990 - 2026 - Rainbow Tower

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1990 - 2026 - Rainbow Tower

また、Brevetti Montolitのために開発された人間工学的ツール「CRABプライヤー」に代表されるように、製品開発にも貢献している。さらに、ASSOPIASTRELLEやFEDERLEGNOといった団体のための展示や、ミラノから上海に至る国際的な展示空間の設計・制作を通じて、見本市や展示分野においても確固たる存在感を示してきた。

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2008 - SKIN Exhibition Event - the Skin of Architecture - Made Expo 2000 Mq - Milan

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2008 - SKIN Exhibition Event - the Skin of Architecture - Made Expo 2000 Mq - Milan

同スタジオは一貫して、新しい技術や空間概念への応答を重視してきた。その思想の中心にあるのは、ホームオートメーション、バーチャルリアリティ、デジタルシステムを統合した「次世代の環境」の創出であり、ダイナミックかつマルチメディア的な体験を生み出すことにある。この未来志向の姿勢は、デザインを単なる形態や機能の問題にとどめず、インタラクティブで応答的な環境を構築する手段として位置づけている。

スタジオはFrancesco Roggero、Albino Pozzi、Kiyoto Ishimoto、Rita Alfano Roggeroらを中心に構成され、国内外の協働者とともに活動している。彼らが重視する「オリジナリティ」とは、未来を先取りし、異なる要素を結びつけることで意味ある革新を生み出す姿勢にある。デザインは単なる美や機能にとどまらず、物語性や感情的共鳴を内包するものと捉えられている。

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Gedy Bathroom Series Iside

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Gedy Bathroom Series Iside

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Gedy Bathroom Series Iside

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Gedy Bathroom Series Iside

その実践において重要な役割を担うのが、色彩、テクスチャー、素材である。これらは単なる視覚要素ではなく、知覚や感情に働きかけるコミュニケーションの媒体として扱われる。触覚、視覚、感覚的体験を横断的に組み合わせることで、空間の印象や感情を形づくることが目指されている。

55周年という節目を迎えたOriginal Designers 6R5 Networkの歩みは、継続性と変化の両立を体現している。実験的精神を核としながらも、文化的・技術的な変化に応答し続けるその姿勢は、現代デザインのあり方を示す一つの指標といえる。