世界的ファッション・デザイナー髙田賢三の没後初の大規模回顧展

髙田賢三展 パリに燃ゆ、永遠の革命児」が姫路市立美術館で2025年4月12日(土)から7月21日(月・祝)まで開催される。本展は2020年に惜しまれつつ逝去した髙田賢三(1939-2020)の没後初の大規模個展となる。髙田のファッションの変遷を衣装展示でたどるとともに、幼少期から描いていた絵画やアイデアの源泉となった資料、衣装のデザイン画などを紹介し、多角的な視点で人物像を浮かび上がらせる。日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した髙田賢三の生涯にわたる創作活動を回顧する。

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髙田は、日本人のファッション・デザイナーとしていち早くパリに進出し、斬新なアイデアで常識を打ち破るスタイルを次々と生み出した。単身で渡仏後1970年にパリで自らのブランドを立ち上げた髙田は、木綿の新しい可能性を打ち出したことで「木綿の詩人」と称され、早くから注目を集めた。その後も、身体を衣服から解放させることを意識し、直線裁ちの着物袖やダーツをなくしたゆとりある服を生み出したり、独特の色使いや柄の組み合わせを用い「色彩の魔術師」と称されたりするなど、日本人としての感性を駆使した作品を数多く発表。それらは、国境や文化、性別を自由に超え、これまでの西欧中心の伝統文化にとらわれない新しい衣服を示唆することとなり、今もなお世界中で愛されている。

本展の見どころ

タイムラインでたどる髙田賢三の人生

姫路市出身の髙田賢三は1958年に文化服装学院に入学。戦後の洋裁学校ブームのなか、小池千枝氏に師事した。1960年には若手デザイナーの登竜門である「装苑賞」(第8回)を受賞し、ファッション・デザイナーとして第一歩を踏み出す。渡仏後、1970年に自らのブランドを立ち上げてから1999 年にKENZOブランドを去るまでその人気は衰えることなく第一線を走り続けた。ブランドを離れた後、2000 年代に入ってからも、2004年のアテネオリンピック日本選手団公式服装のデザインや、2019年には演出家宮本亜門氏による『蝶々夫人』の衣装を手掛けるなど、クリエーターとしての活動は続いた。

幼少期、東京の文化服装学院で過ごした学生時代、パリに渡ってからの活躍、そして晩年の活動まで幅広く紹介し、髙田の人柄を語るトピックを織り交ぜながら、彼の魅力あふれる人生が紹介される。

国内外のコレクションから厳選した オールド・ケンゾー

前半では、装苑賞を受賞した記念すべき作品をはじめ「日本のきれ」を使った初期の作品、「ニット」「ツイード」「バルーン」といった素材や技法、「アンチ・クチュール」「ペザント・ルック」「ミリタリー・ルック」など、1970年代に髙田が発表したテーマに着目して紹介。

後半では、「日本」「中国」「ルーマニア」「ロシア」「アフリカ」など、髙田の代名詞ともいわれる世界各地の民族衣装に着想を得た1970−80年代のフォークロア作品を一堂に展示。多様性、包摂性を持ち合わせていた髙田の世界を堪能できる空間となる。

さらに、集大成となったKENZOブランドでの最後のショー「30ans(トランタン)」(1999 年)の映像フィルムをデジタル化し、ダイジェストで紹介する。

約20年間集めたリボンで作られたウェディングドレス

1982AWのショーに登場したマリエ(ウェディングドレス)は、髙田が約20年間にわたって集めたリボンを使って制作した大作。花の刺繍が施された色とりどりの美しいリボンが使われている。このドレスは1999年に行われたショー「30ans(トランタン)」で、日本を代表するモデル、山口小夜子が着用した。本展ではこのドレスとともに、制作の様子も写真資料で紹介する。

「髙田賢三展 パリに燃ゆ、永遠の革命児」開催概要

会期2025年4月12日(土)~7月21日(月・祝)
会場姫路市立美術館
URLhttps://tinyurl.com/mrx6phk2