「ADFデザインアワード2026」優秀賞受賞者Jeravej Hongsakul氏インタビュー

NPO青山デザインフォーラム(ADF)主催の「ADFデザインアワード2026」の審査結果が2026年3月に発表されました。今回は、ホスピタリティカテゴリーで優秀賞を受賞された建築家Jeravej Hongsakul氏をインタビュー形式でご紹介いたします。

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Jeravej Hongsakul

建築家としてのご経歴について教えてください。

子どもの頃から、SF小説を読んだり、SF映画を観たり、レゴを組み立てたり、絵を描いたり、友人のために漫画を描いたりするのが好きでした。12歳くらいのとき、図書館の雑誌でフランク・ロイド・ライトの《フォーリングウォーター》の写真を見ました。滝が家の中を流れている実在の住宅があること、しかもそれがとても美しいことに大きな衝撃を受けました。その写真を先生のところに持っていき、「このような家を設計するには何を勉強すればいいのですか」と尋ねました。先生は「建築家になりなさい」と言いました。その瞬間から、この道に進むことを決めました。実際に建築を学び始めると、すぐに自分にとても合っていると感じました。芸術、想像力、そして理性が、具体的なかたちとして結びつく分野だからです。

建築の中で、特に専門としている分野やプロジェクトフェーズはありますか。

さまざまなタイプのプロジェクトに携わっていますが、主にホスピタリティと住宅プロジェクトがポートフォリオの大きな割合を占めています。設計プロセスのすべての段階が重要だと考えていますが、特に得意で、最も楽しんでいるのは初期段階のブリーフ解釈のフェーズです。その段階ではまだ明確な答えがありません。敷地の声やオーナーの声、制約条件に耳を傾けながら、プロジェクトが正しい方向へ進むための最適な可能性を少しずつ見出していきます。

アイデアを生み出す際、何にインスピレーションを受けますか。また、思考整理やコンセプト形成における独自の方法や哲学はありますか。

私は建築を、「美しさと機能が結びつき、より良い暮らしを生み出す問題解決の芸術」だと捉えています。したがって、まずはプロジェクトがきちんと機能することが重要だと考えています。その建築がどのようにさまざまな要素に応答すべきか、そして文脈、プログラム、機能性、ユーザー体験のうち何を優先すべきかを常に考えています。プロジェクトごとにそのバランスは異なります。あるプロジェクトでは文脈が最も重要になり、別のプロジェクトではプログラムが重視されることもあります。空間の感覚が最優先となる場合もあります。後から美しく見せようとするのではなく、シンプルで明快であり、それ自体に美しさを内包している解決策を選ぶようにしています。

建築以外で関心のある創造的分野はありますか。また、それらを建築に取り入れることはありますか。

私は科学がとても好きで、子どもの頃からいわゆる“理系少年”でした。科学とは、想像力から始まり、それを論理によって証明していくものだと考えています。この考え方は、建築設計に向き合う姿勢とも重なっています。幼少期から、アインシュタインがどのように理論を証明したのか――光の速度を説明し、相対性理論を構築したのか――といったことを読むのが好きでした。そこには非常に高い想像力と、強い論理性が求められていました。また、映画や音楽(以前はドラムを演奏していました)にも強い関心があります。クライアントと話す際には、これらの分野と設計を比較することもあります。人々がすでに親しんでいる分野を例に挙げることで、建築の考え方をより理解しやすく伝えられるためです。

受賞プロジェクトの背景と完成までのプロセスについて教えてください。

このプロジェクトは、制約条件、オーナーの要望、ブランドコミュニケーション、敷地条件を、すべて同時に応答できる一つの解として統合する試みでした。私は常に目と耳を開き、敷地やプログラム、そしてオーナーの物語から届くすべてに耳を傾けています。多くの場合、オーナーと話し、敷地を歩くうちに、プロジェクトの方向性は自然と明確になっていきます。このプロジェクトは「自分が何を設計したいか」から始まったのではなく、「このプロジェクトは何であるべきか」を理解することから始まりました。目の前の情報を丁寧に読み解くことで、建築の答えは自然と導き出されると考えています。

今後どのような仕事を創っていきたいですか。

私は大規模なプロジェクトよりも、細部まで十分に検討し、空間の質を丁寧にコントロールできる中小規模のプロジェクトを好みます。建物の用途や規模にとらわれず、ユーザーと空間の体験に焦点を当てた作品を創りたいと考えています。人々が心地よく共に暮らせる小さな住宅でも、人々がまた訪れたくなる公共空間でも、良い体験を生み出せるのであれば成功だと思います。プロジェクトを「より大きく」するのではなく、「より明確に」していくことを目指しています。

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ADFへの印象をお聞かせください。

ADF Awardsは、外観の印象以上に、思考プロセス、文脈、機能性、革新性を重視する国際的なプラットフォームだと感じています。これは私の仕事の姿勢とも一致しています。このアワードは私にとって名誉であると同時に、国際的な視点を交換する機会でもあります。