香港で好評を博した展覧会がイングランド、スコットランド、スイス巡回を経て、待望の日本初公開

1983年に誕生したNUNOは、今年で創設40年を迎える。この節目の年に国内では初となる、テキスタイルデザイナー須藤玲子と須藤が率いるNUNOのこれまでの活動を包括的に紹介する展覧会「須藤玲子:NUNOの布づくり」が、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館にて2023年10月8日(日)から12月10日(日)まで開催される。思いがけない素材を使用したり、伝統的な職人技と最新の工業技術を組み合わせたり、いち早くサスティナビリティに取り組むなど、従来の概念にとらわれないアイデアあふれる須藤とNUNOのデザインは、身近な「布」に新たな視点を次々に提示し、現代のテキスタイルデザインをリードし続けている。adf-web-magazine-sudo-reiko-nuno-1

開催趣旨

本展は、2019年に香港のミュージアム、CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で企画、開催されたもので、コロナ禍のヨーロッパを巡回後、待望の日本開催となる。日本各地の職人、工場との協働作業や、素材の可能性を広げる取り組みに注目し、普段は見ることのできないテキスタイルの制作過程を、音と映像を交えたインスタレーションで展観する。

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(画像)Japan House Londonでの展示風景 2021年 (c)Japan House London

メイキング大公開

完成したテキスタイルではなく、テキスタイルが「出来るまで」をメインとして見せる、画期的な展覧会。アイデアのソースや、アイデア実現までの試行錯誤、実際にテキスタイルが作られる工場の様子まで、通常、作家や企業が秘密にする制作の過程を、惜しげもなく、まるごと公開する。音と映像を交えた作業工程の再現は、それ自体が美しいインスタレーション作品となっており、今回会場となる丸亀市猪熊弦一郎現代美術館の空間に合わせて展示される。

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須藤玲子《ジェリーフィッシュ》1993 年 撮影:林雅之

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須藤玲子《ジェリーフィッシュ》 刺繍による試作 撮影:林雅之

猪熊弦一郎とのコラボ企画

猪熊弦一郎作品とコラボレーションした須藤の新作インスタレーションを、本展限定で出品。美術館の顔とも言えるファサードと、自然光が降り注ぐエントランスの吹き抜け、天井高14メートルを超えるこの二つの大空間に、須藤の大作がいとも「軽やか」に姿を現す。

展示構成

テキスタイルが生み出す空間

NUNOの布を数百枚縫い合わせた幅14メートルのパッチワーク幕と、ジャカード織機用の紋紙(パンチカード)を大量につないだ幅11メートルのカーテンを展示、大きくゆるやかに分節された空間を体感することができる。

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(画像)紋紙(パンチカード)撮影:林雅之

アイデアが形になるまで

色の参考となる古布の膨大なコレクションと、新しいテキスタイルが完成するまでに必要な様々なアイテム(アイデアソース、スケッチ、素材、道具、資料、試作等)を展示。完成したテキスタイルに触れることもできる。

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(画像)須藤玲子《カラープレート》スケッチ 撮影:林雅之

7つのミニ工場

須藤の代表的なテキスタイル7点について、制作過程を音や映像を交え抽象的に再現した、ミニ工場のようなインスタレーション作品として展示。

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(画像)CHATでの展示風景 2019年 (c)CHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile), Hong Kong

日本各地の工場

NUNOのテキスタイル製造を手掛ける日本各地の工場を、職人による作業や機械の操作の様子を日常の情景としてとらえた映像で紹介。

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映像「NUNOの布づくり 群馬編」より アートディレクション:齋藤精一(パノラマティクス主宰)

パブリック・ワーク

須藤の主なパブリック・ワークを5点、パネル展示で紹介。

猪熊弦一郎とのコラボレーション

猪熊弦一郎作品とコラボレーションした新作2点を美術館限定で出品、美術館の建築空間に合わせて展示。

須藤玲子(すどうれいこ)

1953年茨城県石岡市生まれ。布代表。東京造形大学名誉教授。日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術を駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品は、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ロサンゼルスカウンティ美術館、ビクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館など、世界の名だたるミュージアムに収蔵されている。2022年第11回円空大賞受賞。

「須藤玲子:NUNOの布づくり」開催概要

会期2023年10月8日(日)から12月10日(日)まで
会場丸亀市猪熊弦一郎現代美術館
開館10:00 - 18:00 (入館は17:30まで)
URLwww.mimoca.org