アート鑑賞を身体性認知の観点から論じる

今なぜアートに向き合い対話をする場が大切なのか、について論じる『アートと対話であなたが変わる ネット時代における美術鑑賞のすすめ』が学術研究出版から2023年6月より発売中。対話を介した協働的な美術鑑賞の研究や実践を続けてきた長井理佐がインターネット・SNS時代だからこそ際立つあらたなアートの役割や対話の場の重要性を著書で明らかにしている。

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消費者の注意がネットを経由して争奪戦となっている現代に、あえて情報なしで美術作品を鑑賞し、心のうちに生じる感覚や思考に集中し語りあう時間。それは自身の経験や知識が反映された注意を自然に働かせつつ、他者の異なる注意のありように意識を向ける場の創出につながる。そこでは、ネット空間とは対極的なスローな心身の働き(感覚・記憶・思考・想像等)に身をゆだねるマインドフルな場、いいね数による承認ではない直接的な自己承認や他者承認の場が広がっている。

セルフィー的な「自己」や「みんな」への同調から身を離し、「他者」や「異質性」に出会えるツールとして、またネット空間で働きがちな短期記憶ではなく長期記憶を呼び起こすツールとして、アートを活用する提案を論じる。

長井理佐

慶應義塾大学法学部政治学科卒業後商社勤務を経て文学部に学士入学。慶應義塾大学文学研究科美学美術史専攻修士課程修了、横浜国立大学教育学研究科修士課程修了。ブリヂストン美術館ガイドスタッフ2006(ギャラリートーク及び各種教育プログラム実施)、国立西洋美術館FUN DAY2007企画・実施、すどう美術館小学校向け出前授業、真鶴アートフェスティバルスタッフ・一般向け鑑賞講座、丸善雄松堂知と学びのコミュニティ主催ワークショップをはじめとした一般・社会人向け各種ワークショップ等で講師を務める。非常勤講師として横浜国立大学学校教育課程で美術史・美術理論を担当し東京女子体育大学では様々なテーマのもとでの対話を介した美術鑑賞授業を行っている。

「アートと対話であなたが変わる ネット時代における美術鑑賞のすすめ」書籍概要

出版社‎学術研究出版
発売日2023年6月1日
サイズ18.7 x 13 x 1 cm
URLhttps://tinyurl.com/3z9vvr4u