「もっとヘタになりたい」画家・五木田智央の魅力に迫る

美術出版社は「五木田智央」を特集した『美術手帖』10月号を、2022年9月7日に発売した。五木田智央は1990年代より音楽やサブカルチャーに影響を受けた大量のドローイング作品により注目を集め、その後グラデーションを特徴とするモノクロのペインティング、近年ではミニマルで造形的なカラー作品を発表。国内外のギャラリーや美術館などで個展を開催するなど、その国際的な評価は高い。作家の根底に流れる「ヘタうま」思想、色濃く影響を受けた70〜90年代カルチャーなど、あらゆる角度から五木田智央を深掘りする特集となっている。

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『美術手帖』10月号

五木田の絵画制作の原点は、日本の美術教育ではなく自ら浴びるように享受した1970年代〜90年代のミックスカルチャーにある。ハイアートの外側を走り続け、気がつけば日本を代表する画家のひとりとなっていた彼は、これまで何を考えどのように絵を描き続けてきたのか。この特集では「もっとヘタになりたい」と語る、五木田の絵画はもちろんのこと、それらを生み出す文化的コンテクストにも焦点を当て、彼の絵画構築の方法や創作の原点に迫る。adf-web-magazine-bijutu-tetyo-2022-oct-3

巻頭インタビューでは、絵における「ヘタうま」の魅力から自らが画面のなかに生み出す「形」について、そして子供の絵から受ける衝撃の話まで「ヘタ」を愛し制作の自由を求める五木田にとっての絵画論を展開。絵の説明を避けてきた五木田の絵画を、出来る限り解説する記事「『コンセプト』なき絵画制作の方法論」では、ネタ元となるスクラップ・ブック、人物を描く理由、形を生み出す方法論やシンプルな技法など様々な角度から、五木田の絵画制作の方法に迫った。adf-web-magazine-bijutu-tetyo-2022-oct-4

また本特集では、五木田の先輩であり恩人でもある画家・角田純との対談、五木田と関わりのある音楽家のジム・オルークやテイ・トウワ、精神分析医で多くの作家論を執筆するジェイミーソン・ウェブスターへのインタビュー、TOGAの古田泰子ら旧知の仲の6名が集まったアトリエでの飲み会レポートなども収録。さらに佐々木敦らによる五木田の作家像を深堀りする2本の論考なども掲載するなど、現在での五木田智央大全といった内容になっている。

目次

  • SPECIAL FEATURE 五木田智央
  • 作品の変遷 2007~2022
  • 五木田智央インタビュー
  • 「ヘタ」の美しさと作品ならざる絵画の自由
  • 「コンセプト」なき 絵画制作の方法論
  • 対談:角田純 × 五木田智央
  • 絵のわからなさと付き合い、ただ「普通」に描いていく
  • ジェイミーソン・ウェブスター(精神分析医)ネトルトン太郎=聞き手
  • 五木田智央の文化的コンテクストを探る
  • ジム・オルーク(音楽家)松村正人=聞き手
  • The Original Photo Book by Tomoo Gokita 2001
  • 五木田智央の写真集
  • 五木田智央の「ヘタうま」画業人生
  • テイ・トウワ(音楽家)
  • ティム・ブラム(Blum & Poe共同創設者)ネトルトン太郎=聞き手
  • 石井孝之(タカ・イシイギャラリー代表)
  • みんなで語る「五木田智央」 など

美術出版社

1905年の創業以来、一貫して良質な美術図書の出版を手掛ける。『美術手帖』『ワイナート』などの定期雑誌、『カラー版美術史シリーズ』をはじめとする美術・デザイン・建築などの芸術全般にわたる書籍の出版、美術展のカタログ制作、「美術検定」事業のほか、アートと人々をつなぐ多彩な事業を行っている。

『美術手帖』2022年10月号書籍概要 

発売日2022年9月7日
定価1800円
発売美術出版社