アーティストの軌跡をたどる個展

西新宿ヒルトン東京地下1階のフジギャラリー新宿で松下誠子の個展「窓枠の叛乱」が2024年12月21日(土)から2025年1月31日(金)まで開催される。2024年2月の「中庭の束縛」展に続く本展は、未発表作品を含むインスタレーションとドローイングを通じて、アーティストの軌跡をたどる。松下は1990年代よりインスタレーションや絵画、写真、パフォーマンスなど多様な手法で女性の葛藤や社会的抑圧を表現。初期は鉄やコンクリートなど重厚な素材を用いていたが、近年は鳥の羽根やパラフィン紙といった繊細な素材を使用し、内面的なテーマに移行している。この変化は、外部の社会構造から個人の内面へのアプローチを象徴している。

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「開かない翼」(Sealed Wings)
2024 年 パラフィン紙にオイルパステル、⽊炭 / oil pastel and charcoal on paraffin paper、330×480mm

本展のテーマである「窓枠」は内と外の境界を表し、同時に両者をつなぐ役割を持っている。展示ではフレームを取り除き、重ねられたパラフィン紙のドローイングによって多層的で見えにくい現代社会の状況を映し出している。

アーティスト・ステートメント

展覧会を二度に分けて展示をするプログラムとなり、「窓枠の叛乱」はその2回目にあたる。1回目にあたる展示「中庭の束縛」は、未発表のまま長年眠っているドローイングの展示であった。すでに描き終えてしまった作品と向かい合うことは、主観的な愛着よりも時間の針が振幅して棘にもなりかねないので、自分の中に出口のない「中庭」を作り束縛の塀を張り巡らした。

それは終焉ではなくいつか来る新しさへの誘惑ではなかったのか。

今、私はその誘惑に身を任せてみることで、過去を歩きながら実に向かう図の風景を描き写す試みをしてみようと思う。

松下誠子

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「開かない翼」(Sealed Wings)
2024 年 パラフィン紙にオイルパステル、⽊炭 / oil pastel and charcoal on paraffin paper、330×480mm

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“camp”2024 年
パラフィン紙にオイルパステル、⽊炭oil pastel & charcoal on paraffin paper 295×210mm

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「さよならが⾔えないで」(Words Left Unspoken)(オブジェ)
2024 年
靴、油絵具、ストッキング、⽊、⽯塑粘⼟
shoe, oil painting, stocking, wood, stone clay
245×290×200(H)mm

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「ひとりでいなさい」(Stay Alone)(レイヤードローイング)
2024 年
パラフィン紙にオイルパステル、⽊炭、油絵具
oil pastel, charcoal & oil paints on paraffin paper
330×480mm

松下誠子 プロフィール

北海道函館市出身、神奈川県在住。共立女子大学卒業後、金工を学ぶ。近年の主な個展に、2024年中庭の束縛(フジギャラリー新宿 / 東京)、2023年落下する玩具 ― 良心をさがして(太郎平画廊 / 東京)などがある。

松下誠子展「窓枠の叛乱」開催概要

会期2024年12月21日(土)から2025年1月31日(金)まで
会場FUJI GALLERY SHINJUKU(ヒルトン東京 地下1階)
休廊月曜日、火曜日、1月1日、2日
URLhttps://tinyurl.com/4su95m92