凛冽なる意志が佇む、雅趣あふれる作品世界
『紙を生きる - 藤原志保「線」の軌跡』が、ホワイトストーンギャラリー銀座新館で2026年4月10日(金)から5月2日(土)まで開催される。本展は、兵庫県丹波篠山にアトリエを構え、一貫して墨と和紙による抽象表現を志向してきた藤原による30年ぶりの東京での個展となる。
アーティストステートメント
描かれた線や紙の形象には、作者のDNAはもとより、背負ってきた人生、人格、魂がにじみ出ています。墨と和紙の限りない可能性に魅せられて以来、折り紙の線、墨粒子の浸透の度合いが生み出す表情の変化等、誰も手掛けていない未知の境地を開拓しつづけてきました。
日本画家であった祖父の私への遺言は「人に媚びない、自分の表現したい作品を描きたいなら、自立できる仕事を持て」というものでした。さまざまな死生観に向き合わざるをえない看護師という職業を選んだのも、表現することと生きることを直結させたいという意識が働いたのでしょう。神戸市立中央病院を皮切りに65歳で定年を迎えるまで、日々患者さんに触れあうこと、墨と和紙のモノトーンの世界に対峙することは、どちらも私の日常を不可分に構成する現実であり、修行の日々であったともいえます。私の血となり肉となった経験の在りようや内観の変化は、新たなカタチを得、墨と和紙を媒介とする作品のなかで息づいているのではないでしょうか。
筆で描き、和紙の表層のみならず突き抜けたその先までを表現のフィールドとする。折り紙の折れ線には作家としての意志を託す―今展でフォーカスするのは、シンプルであるがゆえにリスキーな「線」。折ることで天衣無縫な展開を見せる「紙」との結託。その潔くも深遠な世界は、生の手触りの宝庫といえます。速度さえも内包する「線」から、物質性を越えたさまざまなシグナルを読み取って頂ければ幸いです。
藤原志保
藤原志保
1944年兵庫県西宮市生まれ。少女時代に水墨画に開眼、水墨画家に入門し墨と紙についての研鑽を積む。樹と森をモチーフに制作を続けていたが、1970年の奄美群島と北海道釧路原野への旅行が制作の転機に。大木の根の力とその剛健なる造形、地平線に垂れ込める暗雲に衝撃を受け、爾来、一貫して「墨と和紙による抽象表現」を志向。ブルー・メール賞(1984)、第8回現代美術今立紙展大賞(1988)、兵庫県芸術奨励賞(1996)、亀高文子記念-赤艸社賞(2006)など数々の賞を受賞。1982年東京にて初個展、1983年サロン・ド・メ(パリ)出展など、国内はもとよりフランス、ハンガリー、アメリカ、カナダ、オーストラリア、中国、台湾などで展示し、その凛冽さを湛えた現代性で注目を浴びる。阪神淡路大震災以降は丹波篠山市にアトリエを構え、墨と和紙による可能性のさらなる研究を重ねる。モノクロームの作品群は平面のみならず、立体、記憶という時間軸をリンクさせたインスタレーションまで多岐にわたる。これまでに2 冊の作品集(『墨と和紙』、『SUIBOKU』)を出版。作品は東京国立近代美術館、兵庫県立美術館、ヨーロッパ・コミュニティ・センター(ノール、フランス)、インク・ファンデーション(スイス)、などに収蔵されている。
『紙を生きる - 藤原志保「線」の軌跡』開催概要
| 会期 | 2026年4月10日(金)〜5月2日(土) |
| 時間 | 11:00~19:00 |
| 会場 | ホワイトストーンギャラリー銀座新館 |
| URL | https://tinyurl.com/2uehhtte |

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