ルノワール、ミレー、モネ、マネ、ドラクロワ、セザンヌなど偉大な画家たちを生んだパリの公募展「ル・サロン」が2022年に再開

ル・サロンはフランス人だけではなく、日本の芸術家も世界へデビューするチャンスが掴める美術の登竜門として知られている。ル・サロンは、17世紀に始まり、21世紀の今も続く世界で最も古い公募展だが、2021年は世界的なコロナ禍で休止を余儀なくされた。しかしこのたび、2024年のパリオリンピック/パラリンピックに向け、エッフェル塔たもとのシャン・ド・マルス公園に仮設された新しい会場「グラン・パレ・エフェメール」で2022年に再開することが決まった。パリオリンピック/パラリンピック開催後に同会場が解体された後は、リノベーションが完了したグラン・パレへ戻る予定。

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2020年にグラン・パレで開催された「Art Capital/ル・サロン」の模様

「ル・サロン」について

1667年にパリで生まれた「サロン」(現在フランス芸術家協会が運営するル・サロン(Le Salon)のこと)。当時のフランスでは国王や貴族の間で伝統的に受け継がれてきたメセナ(学問や芸術の庇護)があり、国王だったルイ14世も一流アーティストたちを支援していた。彼の布告によって、王立絵画彫刻アカデミー(現・フランス学士院)会員の作品展を年1回開催することが決定されたが、現実的にはいくつかの場所で不定期の開催となっていた。1699年にルーブル宮殿内で開かれることとなり、その1室「サロン・カレ」が会場であったことから現在のル・サロンという名称の語源となっている。以後1850年代にはパリ1区にある歴史的建造物パレ・ロワイヤルや、1855年のパリ万国博覧会のために作られた産業宮で開催。1870年代の開催時には50万人以上の来場者があり、この当時で9,000点を超える作品が審査会へ応募された事からも、パリが「芸術の都」と称されるのが理解できる。やがて1880年、政令によってフランス芸術家協会が生まれ、官展であったル・サロンは民営化されてフランス芸術家協会が運営することになる。

1900年に再び開かれたパリ万国博覧会のために巨大なドーム型のグラン・パレが建設され、1901年からはここがル・サロンの会場となったが、2020年よりリニューアル工事に入るため、来年2022年からの会場は、2024年のオリンピック開催のために建設され、開催後に取り壊される予定のグラン・パレ・エフェメールとなる。その後はリニューアルされたグラン・パレに戻る予定。

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© Wilmotte & Associés Architectes

ルノワール、ミレー、モネ、マネ、ドラクロワ、セザンヌなど、誰もが知る歴史に名を遺す偉大な画家たちの多くは、17世紀にパリで始まったこの展覧会への出品が世に知られるきっかけだった。画家だけではなく作品「考える人」で知られる彫刻家のロダン然り、パリの「オペラ座」などで知られる建築家のガルニエなども同様に、ここがデビューの場だった。日本で最も知られる公募団体の「日展」が明治時代にル・サロンを倣って生まれた事からも、日本の近代美術の発展にはその影響が極めて大きかったと言える。

日本人芸術家の応募について

麗人社はパリに支局を開設した2002年より、約20年に渡りル・サロンに出展を希望する日本人芸術家の応募代行業務を行っている。具体的なサービス内容は、翻訳を含む応募手続きの一切を代理人として行い、作品写真審査によって入選した場合の作品輸出入手続きから荷受け、展示、撤去、返送、また展覧会場内観から展示状態の写真提供、来場者、ル・サロン関係者へのインタビューなど詳細な結果報告(Reijinsha Newsの発行含む)提供など。

現在、2022年度の受付は既に終了し、2023年度の受付が始まっている。麗人社は、例年最も多数の入選者を輩出し、入選者のみならずメダル受賞者、また承認審査が厳しいフランス芸術家協会(ル・サロンの運営母体)の会員を生む、日本の代表的な応募窓口となっている。adf-web-magazine-le-salon-2022-1