DIC 川村記念美術館で展覧会「言語と美術─平出隆と美術家たち」が10月6日より開催。国際的ベストセラー小説『猫の客』で知られる詩人、平出隆。 DIC 川村記念美術館では、平出の「言語」と 「美術」が鋭く交差するところに生まれる 「対話」に注目し、第一級の美術家たちとの長い歳月を軸に、美術作品に固有の思考や言語に光を当てた展覧会となります。
独自の概念 「空中の本」を踏まえた会場構成は建築家 ・青木淳が担当。全長約 12m の 「透明梁」を用い、詩人と美術家たちが、あるいは言葉と形象が重力から解き放たれて交差する空間を現出させます。
出品作家:ジョゼフ・コーネル、ドナルド・エヴァンズ、加納光於、河原温、中西夏之、奈良原一高、岡崎和郎、瀧口修造、若林奮、他
よく「美術家は言語を使わずに制作する」 と言われますが、それは少し単純にすぎる見方ではないでしょうか。卓越した美術家たちは、彼らの選びとる物質や観念の内部から、人類がまだ使わなかった言語を精妙に聴き出してくるからです。しかも、彼らひとりひとりから、それぞれに異なる無二の言語が発せられる。そのような言語を聴き取りたい。そのような言語は、私たちの思考よりさらに先を行き、私たちを豊饒な美と知の世界へと導いてくれるものですから。建築家の青木淳さんが、世界初という「透明梁」を設計して、この言語を展覧会会場の「空中」につかまえて見せてくれます。
平出隆
会期:2018年10月6日(土)~2019年1月14日(月・祝)
会場:DIC 川村記念美術館(千葉県佐倉市坂戸 631)
平出 隆(ひらいで たかし)
1950年、福岡県生まれ。一橋大学卒。詩人・作家・批評家。その詩は散文との重層領分に及び、『胡桃の戦意のために』(芸術選奨文部大臣新人賞)、『左手日記例言』(読売文学賞)、『猫の客』(木山捷平文学賞)、『ベルリンの瞬間』(紀行文学大賞)、『伊良子清白』(芸術選奨文部科学大臣賞 自装で造本装幀コンクール経済産業大臣賞)など多彩。『伊良子清白全集』編纂をふくむ清白関連全業績で藤村記念歴程賞。ドナルド・エヴァンズ、河原温、加納光於とのあいだに成る美術関連書のほか、《via wwalnuts叢書》や《crystal cage叢書》など、造本や装幀の実験的な仕事もある。大江健三郎により「詩の中から新しい散文を生み出す詩人」とされる。98年度ベルリン自由大学客員教授。多摩美術大学図書館長、教授、芸術人類学研究所所員。尚、本展のベースといえる言語や書物についての著作『遊歩のグラフィスム』(岩波書店)『私のティーアガルテン行』(紀伊國屋書店)がある。